夢で恋は終わらせない。 Fuma.K (ページ8)

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毎日毎日「菊池先輩～」って泣きながら
後輩が教室までやってくると
さすがに悪い噂もたつ。

菊池が後輩を誑かしているとか
弱みを握ってパシリにしてるとか
身に覚えのないことを。

さすがにもう面倒くさくてキツく言おうともしたけど、
朝からパンパンに腫らした目を見るとさすがに無理だった。

朝は時間ないから、昼休み空き教室に呼び出し、絶対に俺を連想しなさそうなコーラを渡す。

……俺だって毎日毎日年下の女の子に泣きながら貢がれたら思うところはあります。

「毎日そんな嫌な夢見るの？」
「いや、途中まで幸せで……でも、最終的には同じ場面で、」
「死ぬんだ？」
「私が死ぬのはどうでも……でも、ふうまさんの顔がほんとに辛そうで、」

どうでもよくはないと思うけど……。

「お前同じ映画で何回も泣くタイプ？」
「フィクションには泣かないです……」
「あっそ……」

どうしたもんかなぁ。
夢の内容フィクションじゃないのかなぁ。

「仕方ねーじゃん病死なんて、今ほど医療が発達してないし。たくさん幸せにしてもらったんだろ？」
「でも、ふうまさんを置いていった、」
「平安時代なんて3回夜這いしたら結婚だし、女の方に選択肢はないはずなのに半年かけて仲良くなったんだろ？大事にされてたと思うよ」

あ、やべ。またこいつ泣きそうじゃん。
それにしても毎晩謎の男のこと考えて
泣くとかどんだけ感受性豊かなんだよ。

「いくらお前がその男の最後の言葉を大切にしたとしても、毎日お前が泣いてたら本末転倒じゃないかな」

真っ白の頬を両手で包むと
きょとん、とした顔をする。
あ、やべ。超柔らかい餅みたい。

「だから泣くな。幸せになるんだろ」

「……菊池先輩が優しい、気持ち悪い」

びゃああと俺の手の中でまたコイツは泣き出した。

……もうどうすればいいんだよ。

頭を抱えそうになったけれど
翌日からこいつは泣かなくなったから
まぁ、良かったのかもしれない。