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なんとなく決まり事は理解していた。
簾の向こう側を私は見ることが出来ない。
写りゆく景色も太陽の暑さも
何も知らない。

ただこうして、身を隠して
夜に殿方が来るのを待つの……。そう思ってた。


「A」


ふうまさんが私を呼ぶ。
手のひらの中に淡い色の、柔らかい花びらのようなものをのせた。


「桜が満開だった。散ったもので、綺麗なものを持ってきた」



ふうまさんは不思議な人だった。
文のやり取りを交わした際
知性のある人だと思って、私も返事を書いた。何度かそのやり取りをしたあと、私の元へ訪れたと思えば ふうまさんは何もしてこなかった。

それどころか、夜ではなく日中……
顔がよく見える時間帯に度々会いに来た。


外の景色を知らない私に
花や果物を無邪気な笑顔で懐から取り出す姿には、緊張していた私の心もすぐ綻んだ。


本来ならば3日通えば成立するはずなのに
ふうまさんは季節が2度変わっても通い続けた。

お土産の紅葉を眺めていると 同じくらい顔を赤くしたふうまさんが私に思いを告げ、
嬉しすぎて、泣きながら返事をした。

その夜 はじめて結ばれた。


あと2日で……ふうまさんと。

そんなとき、味わったことのないほど体が熱くて
巷で噂の流行病のことを思い出す。


そこからは終わりまで一直線だった。




目が覚めた時
また私はボロボロに泣いていた。

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作者名:ゆき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2021年8月22日 22時

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