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夢を突然見なくなって 慌てふためいて 菊池先輩に報告していたけど
次第に気にしなくなっていった。
先輩とは連絡をとったり 放課後遊んだりしたり 普通に仲良くさせて頂いてる。
こんなときが ずっと続けばいいのに……そう思っていた。
「この前、菊池先輩と干し柿食べたときに……」
「え待って、いつの話?それ」
「食べたじゃないですか〜、あいつは今後のことを考えてなさすぎるって珍しく愚痴を言いながら……」
「A」
名前を呼ばれた と、ときめいたのに
菊池先輩は恐ろしいものをみたような、怯えた顔をしていた。
「それは俺じゃないよ」
「え、だって……」
「お前が夢で見た話だ、混同させるな」
「でもふうまさんは……」
あれ? 少し前までクリアだった視界にモヤがかかるみたいに “ 記憶 ” に陰りが見える。
「ふうまさん……?」
交換ノートが危ないって中島先輩が言っていた。
この前、その本当の理由を教えてくれたの。
『Aちゃんがやっているのは夢日記。もちろん感覚が研ぎ澄まされるとかメリットはあるよ。
ただ、デメリットもある。夢と現実の区別がつかなくなるってことはかなり怖いことだと思うよ?』
いまの話は、菊池先輩ではなく、ふうまさんとの話……?
定着していたはずの記憶が、はがれおちる感覚。混同するだけじゃない、私にとって恐れていたことだ。
何が抜け落ちているか、必死に思い返そうと しても何も出てこない。
まずいちばん昔のことから思い出してみよう……あれ?
「先輩、どうしよう……」
「どうした?」
「どういうキッカケでふうまさんと出会ったんでしたっけ……」
「キッカケっていうか、平安って……、お前 記憶が……」
定着したはずの、ふうまさんの記憶が
消えていくのを感じた。
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作者名:ゆき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2021年8月22日 22時