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｢んん……どうしよう｣
｢何に悩んでんの？｣
｢ポップコーン 塩にするか、キャラメルにするか……｣
｢ペアセット頼んだら両方食べれるよ｣
｢……｣
｢いいよ？｣
天使みたい。なんて優しいの？
好きだったアニメの映画、菊池先輩は見たことないらしいけど 付き合ってくれるみたい。
｢これみんな見てるよな……そんなに面白い？｣
｢はいもう、3回見ても飽きません｣
｢……はじめてじゃねえの？｣
｢あ、う、はい……｣
え、何回も見てるなんて引かれた？ 先輩ほんとは見たいのあったの？
｢……別のが良かったですか？｣
｢お前がいいならいいよ。気分転換になればと思っただけだから｣
もしかして、先輩……変な夢ばかりみる私を心配して……？いったいこの人はどこまで優しいんだろう……。
･
まだ案内される前、お手洗いに行きたくて
ポップコーンを菊池先輩に預けていた。
戻ってくると、女子高生がヒソヒソ話す声が聞こえる。
｢ねえ、めっちゃかっこいいひといるんだけど｣
｢ペアセットだから彼女待ちだね、あれは。顔みたい｣
はたから見れば、私たちはカップルに見えるのだろうか。 ほんとうは、後輩の夢の話に付き合ってくれるただの先輩なのに。
……もしもの話、先輩とお付き合いしたら
こういう風に いつも優しくしてくれるのかな。
……な、なんか 変なこと考えちゃった……！
最近 顔が熱くなることが多い。
それはだいたい、
｢A、おかえり。もう入れるって放送あったよ｣
｢……はい｣
菊池先輩のせいだ。
何度見ても飽きない、大好きな映画。
それなのに 今日は全然集中できなかった。
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作者名：ゆき
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2021年8月22日 22時
