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「リピートアフターミー、風磨先輩」
「ひっ……、な、なんで」
「“ふうまさん、ふうまさん ”ってキャッキャされるとなんか腹立つから」
「言えないです。そんなこと……」
「なんで?」
「下の名前で呼ぶとか、なんか、彼女みたいで、刺されそう」
誰にだよ、と吹き出して
ようやく先輩は笑ってくれた。
やっぱり、どうしようもなくほっとしちゃう。
「風磨先輩、言ってみ」
「むりです……」
「ほぉら」
さっき雑に掴まれたときとは違って
今度は優しく、両手で両頬を包まれた。
「A」
お前とかじゃなく、はじめて呼ばれた
下の名前。
聞いた瞬間に 一気に顔があつくなった。
また、熱がでたみたい。
「からかわないでください……」
「いや、むしろ お前が……あ、それで 今日の夢ってなんだったの?」
「お、お話しますね、図書室戻りましょう?」
菊池先輩と2人だと気が狂いそうだ。
・
せっかく戻ってきたというのに、
図書室に入れず 話に聞き耳を立てていた。
「前々から ちょっと変なとこはあったんです、日本史とか古典の授業中に泣き出したり……」
「あれガチだったんだ」
「お恥ずかしい……」
「でも最近は、とにかく 無……というか、ぼーっとしてることがとにかく多いんです。心ここにあらず というか…… 当てられても、話しかけられても無反応で」
「お前授業くらいちゃんと聞けよ」
「……私、そんなにぼーっとしてたかな……」
覚えてない、知らない。
言い訳に聞こえるかもしれないけど、本当なんだもの。
少しずつ、少しずつ
異変が現れた。
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作者名:ゆき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2021年8月22日 22時