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制服のまま、電車に揺られること10分。

意外とガラガラだった車内、
新たに数ページ追加した交換ノートを開いた。



「目標は、半年なんです」
「半年?」
「半年間ふうまさんと過ごした記憶 全部思い出したいんです」


それでも 同じシーンばかり見てしまうから
きっと まだまだ積み重ねた思い出があるのだろう。



「思い出して、どうするの?前世で果たせなかったことをするの?」
「……先輩、最初のプロポーズずっと引きずりますね?」
「ほぼ初対面でされたら嫌でもそうなるよ」

「過去のふたりが望んだことを 絶対にしなきゃって最初は思ってました。 でもそれは 菊池先輩の気持ちを考えてなかったって やっと気づきました。 すみません……。

相手は私じゃなくていい。 先輩は、先輩のことを長い間待たせたりしない人と幸せになってくださいね」



電波だとか厨二病とか
いろいろ言ったのに
結局私に付き合ってくれるような優しい人だもん。


私がなにか、しなくたって
きっといい人と結ばれる。



「あ、ついた!おりますよ先輩」



















夕暮れ時の海は、昼とはまた違った良さがある。何度も来たことがあるのに

いつもより、今日はトクベツ。




「良かったな、したいことできて」


いぇーいとハイタッチを促す菊池先輩、
触れたのは一瞬だけなのに、なぜか熱い。



「あと何がしたかったんだっけ」
「……何でしたっけ」
「お前は“ふうまさん”のことばっか記録するんじゃなくて ちゃんと“過去の”自分のことも気遣ってやれよ。俺がすることなくなるじゃんん」
「ええ……」
「じゃないと永遠ループだからな?」


ふうまさんの幸せ = 過去の私の幸せ

菊池先輩が作り出した公式。



「でも、特にしてほしいことも思い出せない……」
「まあ、夢に見たら随時言ってくれたらいいから」



先輩、最近ほんとにどうしちゃったの?

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作者名:ゆき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2021年8月22日 22時

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