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私の真剣な告白を聞いて、先輩は呆れたようにため息をついた。
｢……じゃあ、その、ふうまさんのことは？｣
｢けっ、結婚したかった……っ、末永くふたりで幸せに暮らしたかった……！｣
｢うん、わかった。わかったから もう泣くのやめろ｣
ん、の私に傘を持つように促すと
乱雑な手つきで涙を拭ってくれた。
｢俺が、元カノと話したらお前は泣かなくなんの？｣
｢それは、わかんないですけど……っ｣
｢ああもう、｣
ぎゅむ と強めの力で頬を包み込む。
私の顔、潰れてない？大丈夫？
｢泣くな。お前が泣くと調子狂う｣
｢せんぱ、｣
｢俺……に、似てるやつのことで泣かれたら こっちも気分悪い。……きちんと話せばいーの？｣
｢はい、先輩が納得するまで心置きなく……｣
｢じゃあさ、きちんと心置きなく話し合って 復縁したら お前どーすんの？｣
｢……私の意見って必要ですか？それが、先輩にとっていちばんの幸せなら何も、否定する理由なんてありませんよ｣
はー、とまた深いため息をついて 私から傘を取り返した。
｢……家どこ？駅までならおくれるけど｣
｢あ、学校の近くで……向こう、｣
｢逆方向かよ｣
菊池先輩、ため息ばっかりついてる
……幸せ逃げちゃうよ？
広い背中を見つめていたら 焦ったようにこっちに戻ってきた。
｢なんで来ねぇの？｣
｢えっ、｣
｢家まで送る。どうせ傘ないんだろ？｣
｢どうしたんですか先輩……いつもの倍優しい……｣
｢別に。なんか、見たくないだけ｣
｢何を？雨に濡れた女を？｣
｢いや、お前が泣いてるとこ見飽きたっていうか……｣
夢を見始めた頃は 毎日のように菊池先輩のとこに泣きついてたもんな……。
｢それに、風邪ひいたら困るだろ｣
｢夏風邪はバカがひくっていいますよね、｣
｢うわ、余計心配。お大事に｣
有言実行？
高熱を出した私は翌日学校を休んだ。
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作者名：ゆき
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2021年8月22日 22時
