菊池くんの彼女になるまで。

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｢さがみん！！頭ぶつけたって聞いた！大丈夫？｣


……ツバキちゃんにとって大事なのは絶対にそこじゃないと思う。

優しく後頭部を撫でられると 菊池くんにされたことを思い出す。初チュー……違う、カウントはしてあげないんだった。


｢それよりツバキちゃんあのね、謝らなきゃいけないことがあって……｣
｢事故チューのこと？仕方ないよそれは｣


意外にも、あっさりしてらっしゃる……佐藤くんだけはちょっと複雑そう。


｢ね、菊池くんとどうなった？｣
｢……どうもなってないよ？｣
｢え、｣


それは本当のことだもん。
夏休み前に、言って欲しいななんて
淡い期待を抱いている。


だって、学校以外で 菊池くんに会える口実を作るのって ただのクラスメイトじゃ難しいじゃん。



｢ねえ、このあと席替えするんだって｣
｢もう夏休みなのに？｣
｢9月はそれでいくんだって｣



学校生活の中で 何十回と行われるイベント。
1番前は寝れなくて嫌だし、廊下側の1番後ろは わりと寒くて嫌。

それなりに一喜一憂しちゃう、まあまあ大事なイベントだと思う。


でも、私にとっては どこになるかよりも……。





｢ねえ、さがみんおとなり！しかも窓際のいちばん後ろとか 主人公席じゃん！｣
｢そ、そんな呼び方するの……？｣



場所的にはかなり良い方。
いちばん大事なのは……。



｢また前後になったね、よろしく｣
｢……菊池くん｣




大好きな君との距離がどのくらいあるのかってこと。

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