#4鎌 ページ4
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『いや何でついてきてんの?』
「えー、死神だから?」
昨日彼を拾って、心臓バクバクながらも何事もなく一晩過ごせたのだが、朝。
会社に行くための駅までの道を私の後ろから彼はずっとついてきている。
道ですれ違う女の人ちらちら見られている死神くん(仮)
そりゃそうだよね。君美形だもん。
『えっ、死神ってストーカーとかするの?』
「分かんない」
『おい』
昨日彼と話して、わかったことが何個かある。
1、まふまふという名前があること。
いや女子かよっ!と言ったら首こてんとした。女子かよ。
2、死神界に死者の魂をおくるのは、3か月以内だということ。
本人はその後どうするか、全く決めてないらしい。
3、ほかの人にも一応姿は見えるが、鎌は見えないということ。
見えたら大惨事なので、心から良かった。
4、イケメン&イケボ
かえがたき事実。
道を歩いてすれ違う女の人は、まふくん(本人からそう呼べと言われている)にうっとり見惚れるものの、横にいる私を見ると怪訝そうな顔をする。
いや、自分の普通さだけが取り柄なんです。
「基本は自由に生活していいから、ずっと家の主についていく必要はないと思うけど…」
『じゃあ家で待っとってくれ。周りの視線がいたい』
そう言うと意味が分からなかったのか、?マークを浮かべるまふくん。
イケメンでその可愛さじゃ分からないか。
彼にも分かるように説明ができるよう口を開こうとすると、その前にまふくんの声がふってきた。
「ダメなのかなぁ…」
『へ?』
「んー、つまり、Aちゃんの声が聞きたいから?違うな。一緒にいたいから、かな…」
そう言ってふっと細められた綺麗な瞳。
な、なんなんだその少女漫画的セリフ……
そういえば、彼が私の名前を知っているのは死神界でとりつきたい人の名前を調べられるそうだからだ。
どくん、と、不覚にも心臓がはねる。彼は完全に無自覚だ。
動揺した顔を見られたくなくて下を向くけど、両手で頬を挟まれて、次の瞬間にはその手によって上
を向かされていた。
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作者名:まんぼうコロッケ | 作成日時:2018年8月15日 19時