ユーキ王子の心を奪いたい！ (ページ10)

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第10話￤Yellをページ10

タクちゃんと廊下を歩く。

タクちゃんは眉間にシワを寄せて何か考え込んでいた。

「タクちゃんどーしたの？？」

顔を覗き込むと我に帰ったように私を見つめてくる。

「いやうーん、俺ってAの彼氏じゃないよね？」

「うん！当たり前じゃん！」

「いやだよな分かってる俺達は幼馴染み」

なんでそんな当たり前のこと言うんだろ。タクちゃん。

私達の周りの子もほとんどみんなそんなのもう知ってる事なのに。

「そりゃあねえ」

頷きながら答えるとタクちゃんは更に考え込み出した。

「じゃあなんで俺、すぐに違うよって言えなかったってか言わなかったんだろ」

「何の話ー？」

うんうん唸りながらタクちゃんは何かを考え続ける。

頭良いからなあ、私が聞いてもわかんないか！ほっとこ！

「ねえA」

「ん？？」

「ユーキくんと彼氏彼女になりたいの？」

今度は私が答えに詰まった。

「うーんそれは、分かんない」

「めずらし、いつも即決即答即行動のAが」

「いやなんていうか、付き合いたいかは分からないけど、こっち向いてほしいんだよね」

そう答えると、タクちゃんの表情が一瞬固まった。

「そっかあ。じゃあ俺は、応援するよ。頑張ってよA」

いつも通りの優しい微笑みのはずだけど、なんでかちょっと苦しげなタクちゃんは不謹慎ながら最高に綺麗だった。

私は何を言おうか迷って、とりあえずは

「ありがとう！」と笑った。