ユーキ王子の心を奪いたい！ (ページ3)

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第3話￤お仲間ページ3

「うん、分かった分かったすぐ帰る。コーイチにも心配しないでって言っておいて？」

普段より格段に優しい王子の声。

これが素だったりするのかなあ。

そのまま王子は屋上を出ていった。

うーんなんというか、気になる。

もしかして、ユーキ王子はドジなの？

￤

side￤Ｙ

授業をサボりつつ、時に寝つつ受けて、放課後になった。

廊下を歩いていると群がってくる親衛隊。

「ユースケ、もうでかい声で威嚇してくれない？」

「僕！？無理だよ無理！！」

「冗談に決まっとるやろユースケ。ユーキも幸せな悩みやなあ」

「どこがだよコーイチ。俺ほんと興味ないもんこんなうるさい子達」

周りには聞こえない音量で話す俺とユースケとコーイチ。この2人だけは、俺の秘密を知っている。

「あ！あの子も親衛隊おるってクラスのやつら言うとったで」

コーイチの示す方向を見ると、たしかに可愛い女の子が立っていた。

「全然いないじゃん」

「密かに応援するタイプの親衛隊なんやって。せやからあの子自身も気付いとらんらしいけど」

「ふーーーん」

後頭部をかきながらコーイチに返事をする。

そんな俺の動作だけでキャーッと叫ぶ周囲の女の子たち。

面倒だけど、時々後腐れなく女の子とは遊ばせてもらってるから怒鳴って蹴散らすとかはできない。

「可愛いね！！親衛隊いるならユーキのお仲間だ！」

ユースケの声に軽く頷く。

3人でなにげなくその子を見ていると、その子の肩を後ろから誰かが叩いた。

「A、帰るぞ」

さらっさらの髪をセンターで分けた、かっこいいと言うよりは綺麗な男子だった。

「あ！タクちゃん！遅いよ！」

Aと呼ばれた女の子はパッと笑ってタクちゃんという男子と歩いて行った。

「笑顔も可愛かったね！！」

「あーうん」

「でもあれやんな。ユーキは元気系嫌いやしなあ」

「うーんまあ」

ユースケとコーイチへ上手い返事を返せないほど、俺は我ながらぼんやりしていたと思う。