ユーキ王子の心を奪いたい！ (ページ18)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:23,309 hit

第18話￤王子の葛藤ページ18

side￤Ｙ

いや、待てよ。一晩考えて、俺は落ち着いた。

俺が松尾さん好きな理由なくない！？

ドジっ子がバレて、なんかぐいぐいきて急に意味わかんないこと言い出して、なんかとにかくぐいぐいきて

ぶわってきたって言われて、

その時の顔は確かに可愛かったけども！

意味わかんないこと言ってても面白いんだけども！

ああダメだなんか褒めちゃってない！？

登校中、頭を抱えて唸っていると周囲にちらほら現れ出した同じ学校の生徒がこっちを見ているのに気付いた。

やばいやばい、クールキャラがぶれる。

すぐに真顔に戻して、学校に入る。

ユースケとコーイチと合流して、いつも通りの１日が始まる。

と、思っていた。

朝のホームルーム、先生が連れてきたのは

「大阪から転入してきました！松尾太陽やで！」

2人目の「松尾」だった。

それから学校中は松尾くんの話題でもちきり。

「2人目の王子」「純白王子」「タカシやで王子」とか色々あだ名も付けられてるみたい。

松尾さんの弟だって話も一瞬で広まって、「美男美女双子」って崇められてる。

俺から注目が逸れたのは嬉しいけど、松尾くんと松尾さんが廊下で喋ってるのをみんなが遠巻きに眺めてるから

俺が松尾さんに近付けないんだけど！

いや待って！近付かなくていいんだ！ドジった！！

でもなーんかムシャクシャして５限はサボろうと屋上に向かう。

松尾さんは今日はきてなくて、久々に静かな屋上だ、と目を閉じる。

ふわっふわと前髪に触れる遠慮がちな指先の感覚で目が覚めた。

目を開けると、

「う！わあ！！起きた！！！」

とバカでかい声で叫ぶ松尾さん。

会いたかったんだけど、バカ。

とは、言えないけど。