7.溜息 ページ7
記憶を辿って行くと、一つ思い当たる節があった。
「今日、男の人と道で衝突して…」
「どこで？」
「すぐそこ。大学出て右の方の道の」
「行ってみたら？」
「うん」
ゆきちゃんがちゃんとしていて助かった。
定期を落とすズボラな私を的確なアドバイスで導いてくれる人。
ゆきちゃんに感謝の気持ちでいっぱいになりながら、私達は朝通った分かれ道の角へ向かう。
…だけど。
朝男の人とぶつかったあの場所に行ってみても、そこに定期は落ちていなくて。
「うそー…」
その周辺を二人で探してみても、やっぱり無い。
あぁ、遅刻って良くない。
そんな当たり前のことを、痛い程思い知った。
ゆきちゃんも身を屈めて落ちていないか確認してくれていたけれど、
すぐにその体勢も直って
私の方を向くと「無いね」って呆れたように言った。
どうしようも無いとでも言うようなその渇いた目が私を見つめる。
悲しくなって目を逸らした。
「駅に…行ってみようかな」
いつもの流れだとゆきちゃんが次の行動を指示してくれるんだろうなと思ったら申し訳なくなって、自分から話す。
「そうしたら？」
腰に手を当てて、ふぅとため息をつくゆきちゃん。
…ごめんなさい。
「じゃ、駅行こっか」
ゆきちゃんはそう言って、リュックを背負い直して駅の方に進もうとした。
時計を見たら12時50分少し前。
「私一人で行くよ。ゆきちゃんはご飯食べて」
前を歩くゆきちゃんが振り向いた。
「私のために申し訳無いし…食べる時間無くなっちゃうから」
ね？って首を傾げると、ゆきちゃんは眉間に皺を寄せて自分の腕時計を見下ろした。
「うーん、…じゃあ私食べに行くけど。Aは授業間に合わせなよ？あ、ご飯も食べなね」
「うん。ありがと」
ひどく寂しい気持ちで微笑むと、ゆきちゃんは口角をきゅっと上げて微笑み返してくれた。
ゆきちゃんの背中を見送ってから、私も駅の方に進む。
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くぅた(プロフ) - の ー こ め ん と 。さん» のーこめんと。さん、嬉しいコメントありがとうございます！前作からお読み頂けているなんてとっても励みになります！現実でも落としたら櫻井先輩拾いに来てくれるかしら…？←むり笑 私も頑張って構想ネリネリしてます(笑)更新遅めですが待って頂けると嬉しいです！ (2017年5月16日 17時) (
レス) id: 681c7c7d0e (このIDを非表示/違反報告)
の ー こ め ん と 。(プロフ) - えのぐから改名しました、のーこめんと。です(｀・ω・´) 現実でも物を落としたくなるような素敵なお話…！( ´∀｀) 亀更新でも全然大丈夫ですよ！私はその間に翔さんとサル子との妄想をしておりますので(。-∀-)ドゥフフ(はぁと) (2017年5月15日 1時) (レス) id: 5465b9f03e (このIDを非表示/違反報告)
くぅた(プロフ) - みぃこさん» みぃこさん、はじめまして！嬉しいコメントありがとうございます！返信遅くなって申し訳ありませんm(_ _)m 一緒に櫻井先輩に胸キュンして頂けてるんですね〜良かった♪( ´▽｀)更新遅めですが待っていて頂けると嬉しいです！ (2017年5月9日 19時) (レス) id: 681c7c7d0e (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - こんにちは☆胸キュンしちゃってます♪これからの更新楽しみにしてます(*^^*) (2017年5月8日 16時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
くぅた(プロフ) - ゆかりさん» ゆかりさん、はじめまして！コメントありがとうございます！優しいですけど、ドSですよ(笑)微妙に主人公ちゃんのことイジってますからね(笑) (2017年4月23日 12時) (レス) id: 681c7c7d0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くぅた | 作成日時：2017年4月22日 20時
