とくべつだからね2 短編 〜by Kei.Ｉ〜

（4） ページ25

＿＿＿side Ｋ




遅くなってごめん!

今向かってる!



エレベーターを待ちながら連絡をするけど、見つめるその画面になかなか既読はつかない。






まぁ、もうすぐ会えるから特に気にすることもなく

乗り込んだエレベーターの中、ガラスに反射してうっすら映る自分と、すっかり暗くなった冬を待つ11月の夜空。





昨日もこうして同じような時間に同じような景色を見て物悲しく感じたのに、

今日はAに会えるってだけでこんなにも気持ちが浮き立つなんて。





もうすぐ年末を迎える繁忙期。

最近はお互いに予定が合わず、めずらしく2週間近く会えていない。




.




外に出た瞬間、頬に当たる冷たい空気が逸る気持ちを落ち着かせる。




周りを見渡して彼女を探していると、




......あっ！いた。




.





でも、見つけたAは一人じゃなくて。

楽しそうに話す彼女の視線の先にいるのは、
ついさっきまで俺の髪をいじり満足したらそそくさと退勤していった大ちゃん。




怒りとはまた違うけれど
その光景を見て快く思えるほど俺は器のでかい人間ではない。




.





......イタズラしてやろう。



後から食べようと思って残しておいた大好物を兄弟に取られちゃった子どもみたいな気持ちで、二人にゆっくり近づいた。










.




大ちゃんの背後、
ぴったりと近寄って彼の右膝の裏に自分の膝で衝撃を加えた。



「...ぅわっ！！」

大ちゃんの驚いた声は思ったとおり。





でも次の瞬間、よろけた大ちゃんは目の前にいたAの肩をガッシリつかんで傾きそうになる体勢をこらえた。




.




「ビッ、っクリしたぁ〜！」


目をパチパチさせる大ちゃん。

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