＊アイリス 破れたページ

No3ー5 ページ30

アキがグラスを割った。



いつもなら絶対にないミス。どうかしたのかな……



『アキ、もう一度聞くわ。どうかしたの？』



「なんでも、ありません……」




……明らかにいつもと様子が違う。



『ちゃんと目を見て言いなさい。』



「なんでもありませんっ……」



そして、合わさっていた目をパッとそらす。



読心術を習っている私には、分かる。





『何を隠してるの？アキ、怒らないから言いなさい。』



「……なんでもないと言ってるではありませんか、お嬢様。」





よっぽど言いたくないミスをしたのね。まぁ、今日はもういい。




『ごちそうさま。話す気になったら言いなさい、わかったわね？』



「……はい。」






アキの隠し事。私の大切なものを壊したとか？



まぁどうせ、お金で買えるからいいんだけど。







〜夜〜




『……喉が乾いたわ……』




1階へ降りて、水を飲みに行こうとアキ達、メイド部屋の前を通る。




「どうしよう……」「ずっと隠し通す事なんて無理よ、わかるでしょ？」「でも……」




メイド達はアキのミス？について話していた。




『フフフ、盗み聞きしてやるわ……』




扉に耳をつけ、息を潜める。




「で、どうするつもり？」


「お嬢様が言う機会を設けてくださったのでしょう？」



「でもこんな残酷なこと……言えるはずがない。」




残酷？アキったらおおげさなんだから。



そんなのまた、お金で買えばいいだけなのに。









「＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」





『え？』




一瞬、耳を疑った。







なぜなら、アキが発した言葉は、お金で買い換えられるようなモノではなかったからだ。

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