29 ページ29
「浮かない顔してどしたの」
月曜日、いつものように朝ごはんを出してもらいながらおにぃが心配そうに私を見る。
本当は休みたかったくらい
今までどうやって二宮さんと話してたか、どんな顔して会ってたかわからなくなってしまった。
「なんでもない、ありがと」
どんよりした空が、さらに気持ちを沈める。
「そろそろ行くね、」
「あんまり無理すんなよ〜」
「ありがと、おにぃ」
お皿を片付けて出口に向かうと、そこには大好きな人。
「はよ、Aちゃん」
「おはようございます！」
「今日のパンはなんだった？」
「今日はウインナーロールです」
「うわぁー、食いてぇ」
私はほんとに単純で、彼の顔を見るだけで気持ちが晴れる。
「ふふ、おにぃ！ウインナーロールサービスしてあげて？」
「いや！買うよ流石に」
「櫻井さんにはいつも妹がお世話になってますから、」
「いやいや、申し訳ないです、」
困った顔で私を見る、そんなところも可愛くて、
「早くしないと遅刻しますよ〜」
「では、お言葉に甘えて…」
嬉しそうに紙袋を持ってお店を出る櫻井さんの隣を歩く。
こんなに幸せな朝はない
「“おにぃ”っていいよね」
「えぇ、そうですか？」
「うん、かわいい」
私がかわいいって言われたわけじゃないのに、舞い上がってしまう。
気づけば、あんなに分厚かった雲の隙間から、日が差していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みにまむ - 続き楽しみにしていました！更新ありがとうございます。 (2023年2月16日 1時) (
レス) id: 658d3bfb20 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - またまた続けてのコメントですみません。。。 物語一気に読んじゃいました。 これで終わりなんでしょうか？ その後が気になります。。。 (2023年2月5日 3時) (レス) @page44 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - また続けてのコメントですみません。。。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 5のここの部分 内線の音で我に帰る。 これ正しくは我に返るではないんでしょうか？ (2023年2月5日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - 続けてのコメントですみません。。。 ひとつ前のコメントページ数が抜けてました。。。 すみません。。。 ページは4です。。。 (2023年2月5日 2時) (レス) @page4 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 夜分遅くにいきなりすみません。。。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 あそこには、去年の今頃新しい係長が移動してきて、 これ正しくは異動ではないんでしょうか？ (2023年2月5日 2時) (レス) @page4 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なゆ | 作成日時：2022年9月8日 8時
