第70話 ページ21
「ウルド様っ。」
「A、何をしている。」
彼のもとへ駆け、その足元でしゃがむ。
椅子の肘掛に手を置いてウルド様を見上げれば、また優しく頭を撫でてくれた。
「ルクについて来たのか。」
「会議が始まったら出て行きます。それまで…」
私が言い終わる前に、いきなりブンっと妙な音がなって一気に部屋が真っ暗になった。
突然のことでビクッと肩が震えウルド様の膝にしがみついてしまう。
彼は気にする様子もなく、映し出された何枚かの画面？というのだろうか。
そこに向かって言った。
「上位始祖会を始める。」
見たこともない景色、聞いたことのない声に少しだけ不安になってウルド様のズボンをキュッと握った。
始まったら出て行こうと思ったのにこの暗さじゃ足元がよく見えないし、誰かが話している最中に立ち上がるのもなんだか気が引ける。
ルク様を見ると、彼は笑って人差し指を口元に当てた。
静かにしておけということだ。
それに小さく頷いてウルド様の膝辺りに頭を預けた。
始まってから意味の分からない単語が沢山出てくる。
『オワリノセラフ』『ヒャクヤキョウ』その他諸々。
それらの単語を並べてフェリド様は意気揚々に話を進めていた。
相変わらず美形だな、なんて思っているとウルド様の足元にいる私に気づいてひらひらと手を振る。
遠慮がちに振り返すと、驚くくらいの笑顔で上機嫌に頷いていた。
もしやレスト様にもこの効果があるのでは…。
そう思った私は手を振ろうとレスト様の画面を見ると、彼はジトっとした目で私を睨みつけていた。
「ひ…っ。」
素早く視線をそらして今のは無かったことにしようと自分に言い聞かせる。
ウルド様の服を掴んだまま、チラッとレスト様の方をもう一度見るとまだ私のことをジーっと見ていた。
なんだかこのまま怯んでいるのも悔しくて、私も負けじとレスト様の方をキッと睨んでみた。
まぁ実際は睨むって言うほど目に力は入っていなかっただろうが。
「…クソガキ。」
ボソッと呟いたレスト様に他の上位始祖様たちが反応した。
「第3位始祖様？」
「レスト・カー様、どうされました？」
「いや、別に。ただ…どこかで会った生意気なガキのことを思い出してね。」
レスト様は笑いながらそう言って私を見る。
でも目だけは笑っていなかった。
喧嘩なんて売るんじゃなかったと後悔し、ウルド様の足にしがみつけば頭を撫でてくれた。
そして溜め息をつき、呆れた声で私に言う。
「臆病なくせにムキになるな。」
…ごもっともです。
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ユーリ(プロフ) - ローズさん» 読んでいただきありがとうございます！ルク様もカッコイイですよね！もし余裕があれば作成させていただきます！^ ^ (2020年4月19日 6時) (
レス) id: cebf47b228 (このIDを非表示/違反報告)
ローズ - 全部読ませていただきました。本当に楽しかったです！特にルク様がカッコよくて...もしよければルク様の小説見てみたいです^^ (2020年4月19日 5時) (レス) id: 9c4c55a475 (このIDを非表示/違反報告)
ローズ - 本当に楽しかったです！！ (2020年4月19日 5時) (レス) id: 9c4c55a475 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - 藍風陽鈴さん» コメントありがとうございます！！私も続編作る方向ですのでその時はまた是非よろしくお願いします！！ (2020年3月8日 17時) (レス) id: cebf47b228 (このIDを非表示/違反報告)
藍風陽鈴(プロフ) - 完結おめでとうございます！毎日更新を楽しみにしてました。毎回キュンキュンドキドキニヤニヤが止まりませんでした笑続編も読みたいです……！ (2020年3月8日 14時) (レス) id: 5ab6d95f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年2月9日 17時
