第52話 ページ3
目を覚ますと、そこはウルド様の部屋だった。
どうやらあのまま気を失ってしまったらしい。
ムクリと体を起こし窓の外を見ればもう真っ暗だった。
今が何時なのかもわからない。
「起きたのか。」
その声を聞いて、ウルド様が部屋の中にいるのだと分かった。
部屋の中も真っ暗で全然どこにいるのかわからないけど。
「はい。あの、ウルド様どこですか…？」
空中で探るように手を動かしてみれば、その手をそっと掴まれる。
ギシリとベッドが軋む音がした。
恐らく彼もベッドへ乗ったのだろう。
「ここだ。見えないのか。」
「真っ暗で、何も…。ウルド様は私が見えるんですか？」
「ああ。よく見えている。」
そう言われ、なぜか恥ずかしくてつい顔を逸らしてしまった。
「A。」
「な、なんですか？」
「怒っているのか？」
そう聞かれると、確かに私は怒っているのだろうと思った。
「怒ってます。酷いウルド様に、怒ってます。」
「そうか。」
別にこれといって私を宥めるわけでもなく、前みたいにそれだけ言ってから彼は立ち去ろうとした。
それが嫌で、私は慌てて彼の手を握り返した。
「なんだ。」
「一緒に…いて、ください…。」
また前みたいに呆れられるかも、そう思えば自然と声が小さくなっていった。
すると、案の定小さく息を吐く音が聞こえる。
だいぶ慣れてきた視界に、ウルド様の顔が映った。
「A。……私にもう心はない。お前が何を望もうと、それは一生叶わない。」
いつも、望む事を口にしろと言うのはあなたなのに。
私のことがはっきり見えていると分かっているけど、それでも涙を止めることはできなかった。
静かに、声に出さず泣いていると、そっとその涙を指ですくう。
「だから…っ、そういうところですってば…。」
「わかっている。」
「わかってるならどうして…っ。」
そう言った私の額に、ウルド様は自分の額を重ねた。
近すぎる彼の顔は、この暗闇の中私でもはっきりと見えた。
「…ウルド様なんか…、」
＿＿好きになるのではなかった。
その言葉は出てこなかった。
そんな大きな嘘をつくことはできなかった。
「私がなんだ。」
そう問われ、少し間を置いて私は首を横に振った。
「もう眠れ、A。」
「一緒にいてくれると約束してください。」
「…ああ。約束する。」
その言葉に安心して、寝転がった私は目を閉じた。
ギュッと、ウルド様の手を握り締めたまま…。
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ユーリ(プロフ) - ローズさん» 読んでいただきありがとうございます！ルク様もカッコイイですよね！もし余裕があれば作成させていただきます！^ ^ (2020年4月19日 6時) (
レス) id: cebf47b228 (このIDを非表示/違反報告)
ローズ - 全部読ませていただきました。本当に楽しかったです！特にルク様がカッコよくて...もしよければルク様の小説見てみたいです^^ (2020年4月19日 5時) (レス) id: 9c4c55a475 (このIDを非表示/違反報告)
ローズ - 本当に楽しかったです！！ (2020年4月19日 5時) (レス) id: 9c4c55a475 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - 藍風陽鈴さん» コメントありがとうございます！！私も続編作る方向ですのでその時はまた是非よろしくお願いします！！ (2020年3月8日 17時) (レス) id: cebf47b228 (このIDを非表示/違反報告)
藍風陽鈴(プロフ) - 完結おめでとうございます！毎日更新を楽しみにしてました。毎回キュンキュンドキドキニヤニヤが止まりませんでした笑続編も読みたいです……！ (2020年3月8日 14時) (レス) id: 5ab6d95f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年2月9日 17時
