好きじゃない。【終わりのセラフ】

第36話 ページ39

「フェリド君、今のはダメだよ…。」


呆れたようにクローリー君は僕を見た。
それはチェスとホーンも同様だ。


「なんで？」


「だって女の子に対してあんな犬みたいな言い方はないよ。」


「へぇ、クローリー君が人間のこと気にするなんてなんか意外〜。」


「うっ。…彼女は面白いからだよ。」


さすがAだ。
吸血鬼でさえも虜にしてしまうなんて。

ただ、ちょっとそれは困る。

……あれ、なんで困るんだろ。


「…うーん。僕はおかしいのかな。」


「今気づいたの？」




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「なにあの言い方！私犬じゃないんだけど！」


そう文句を言いながら地下都市の道を歩く。

最近はフェリドに部屋をもらったからここに来るのも久しぶりだ。

相変わらず暗い雰囲気の場所。


そんなことを思いながらどこかのバカの変態のクソが開放した図書館に入った。

久しぶりにゆっくりと本を読もう。


扉を開けるが誰もいなかった。

少し寂しい気もするけどうるさいよりはマシかな。


適当に読んだことのない本を手に取り椅子に腰掛けた。



読み始めてどのくらい時間が経っただろう。
半分くらい読み終えたところでヌッと本に影が入り字が読みにくくなってしまった。


「…邪魔。」


「あはぁ、そんなこと言わないでよ。」


影の正体は変態だ。

横にあった椅子に座って、机に肘をつきジーッと私の顔を眺めている。

視線が鬱陶しくて全然本の内容に集中できない。


「もう、何？」


「あは、可愛いなぁって。」


「はぁ？犬に可愛いって言うんだ。」


「あ、やっぱりそれ根に持ってる？ごめんね。」


全然反省した様子も見られないんだけど。


「別に。慣れてるからいい。」


「慣れてるの？」


「まぁね。人生色々あるの。」


「あははっ。まだ19年しか生きてないくせに。」


そりゃアンタからしたら19年なんて大したもんじゃないんだろうけど。


フェリドは私から本を取ってにっこりと微笑んだ。


「な、なに。」


「聞かせてよ。Aのこと。」


言われると思ってなかったその言葉に驚いて固まってしまった。


「なんで？」


「Aのことが知りたいから。」


「なんで？」


「もう〜、なんでなんでって聞きすぎ。とにかく僕は君のことが知りたいんだよ。」


駄々をこねる子供みたいにフェリドは私を見てそう言った。


「…別に面白い話じゃないよ？」


「なんだっていいんだよ。聞かせて。」


そして、私はフェリドに私のことを話し始めた。

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