検索窓
今日:14 hit、昨日:5 hit、合計:199,229 hit

第35話 ページ38

「ねー、紅茶ないの?」


「そこの棚にあるでしょ?」


「え、私が作るの?」


「え?それって僕に作れって言ってる?」


当然でしょ?
そんな顔をすると彼は笑って私の頭に手を置いた。


「はいはい。じゃあ待っててね。」


「うん。」


また部屋から出て行ったフェリドを見送って私はソファに座りなおした。


「…ありえないでしょ。」


「なにがですか?」


「だってフェリド君にあんな態度とるのAちゃんだけだよ。」


「ありがとうございます。」


「褒めてないよ。…いや、やっぱり褒める。すごいよ。」


なんか、すごい褒められた。
悪い気はしない。


だから満足したように笑うとチェス様が言った。


「アンタ、笑ったら可愛いのね。人間のくせに。」


いやあなたの方が可愛いんですけど。



「そういえばクローリーさ……ん、達はどこに住んでいるんですか?」


「間が凄かったね。クローリーで良いのに。」


「いえ、まだちょっと慣れなくて。」


「そっか。僕らがいるのは名古屋だよ。名古屋市役所に住んでる。」


え!名古屋?!
名古屋からわざわざここまで来てるの?


「毎回フェリドの呼び出しに応じて大変ですね。」


「ねー誰の悪口言ってるの〜?」


ガチャと扉が開いて奴が帰ってきた。


「ミルクティーいる人手〜挙〜げて〜。」


そう言ったので私は風を切るくらい素早くバッと手を挙げた。


「はいどーぞ。」


「ありがと。」


目の前に置かれた甘そうなミルクティーを見てついつい目を輝かせてしまう。


カップの持ち手を手に取りゆっくりと口に近づける。

スルスルっと入ってきた温かくて甘い飲み物をゴクンと飲み干してホッと一息つく。


「ふぅ。……え?な、なんですか?」


自分に向けられた視線に気づいて少し顔を上げる。


「や、きみ美味しそうに飲むなぁって思って。」


「私も思いました。」


「A可愛い〜。そーんなに僕の入れた紅茶美味しかったの?」


「近寄らないで、臭い。」


近寄られると良い匂いがしてまた顔が赤くなったらどうするつもりだコイツ。


「え、僕って臭い?」


「い、いえ。そんなことはないと思います。」


ホーン様は困ったように笑って言った。


「ほら、臭くないって。だから僕の胸に飛び込んでおいで!」


「キモ。」


全ての紅茶を飲み干してカップが入ったお盆を持ち立ち上がった。


「あれ、どこ行くの?」


「お散歩。」


「お散歩は飼い主と行かないと。」


「はぁ?!うっざ!」


私は犬じゃないし!
そう心の中で叫びながらフェリドの部屋を後にした。

第36話→←第34話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (153 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
241人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユーリ(プロフ) - ゆゆ助さん» 大好きと言っていただけて嬉しいですっ。ありがとうございます! (2019年3月21日 0時) (レス) id: ec0c133e4a (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - InaNyanさん» 頑張ってると思うと言っていただけて嬉しいですっ。今後もよろしくお願いします! (2019年3月21日 0時) (レス) id: ec0c133e4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ助 - いろいろ口だしてしまってすみません。この作品大好きです、更新頑張ってください! (2019年3月20日 22時) (レス) id: 79e1c2e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ助 - InaNyanさん» ほんとにそれなです。ちょっと注文が多すぎるんじゃないですかね…?そんな言うんなら自分で書いた方がいいと思います。ユーリさんもあーしてこーしてって他人が細かく決めたものを書いていてもつまらないと思いますけど…。 (2019年3月20日 22時) (レス) id: 79e1c2e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
InaNyan(プロフ) - 夏季さん» これは私の勝手な意見ですが、作者様は作者様なりに頑張ってると思うのですが…。こんな部外者がすみません。 (2019年1月29日 20時) (レス) id: 248aef0291 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユーリ | 作成日時:2018年12月7日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。