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第3話 ページ4

銀髪の整った顔の吸血鬼。

こんな吸血鬼いただろうか。

私が彼らに興味なさすぎて知らなかっただけかもしれない。


「怪我はない?」


「はい、大丈夫です。では失礼します。」


吸血鬼と深く関わるつもりはない。
早くその場から去りたくてペコリと一礼しすぐに歩き出した。


「あ、待って待って〜。」


パシッと右腕を掴まれる。

こっちは早く帰りたいのになんなんだこの吸血鬼は。

舌打ちしそうなのを必死にこらえ、また営業スマイルで振り返る。


「どうされましたか?」


「きみ、指怪我しちゃってるよ?おいで。手当てしてあげるから。」


そう言われて右手の指を見ると確かに少し出血していた。

倒れそうだった時に壁で指を擦ったのだろう。


ニッコリと綺麗に笑ったその吸血鬼は私の返事を聞く前に腕を掴んだままスタスタと歩き出した。


「あの、このくらいの傷大丈夫ですから。」


「ダメだよー?女の子は頭から指の先まで綺麗にしとかなきゃ。」


「…。」


なんなのこいつ。

別に本人が大丈夫って言ってるんだから手放せよ。

本当にムカつく。

なに、私は今日厄日なのか。


そんなことを思って歩いていると、彼が住んでいる屋敷とやらに着いた。




「はい、これでもう大丈夫。」


「ありがとうございます。助かりました。」


指には丁寧に絆創膏が貼られた。

そしてその吸血鬼は向かいのソファに座りまた笑って私の方を見る。


「あ、の…じゃあ私もう帰ります。ここに長居しちゃ悪いし。」


「えぇ?なんで〜?せっかくお茶も淹れたのに。ゆっくりしてってよ。」


「はい…。」


ゆっくりも何も、こんな空間でゆっくり出来るわけがない。

何が狙いだこの吸血鬼。

お茶を飲みながらチラッと彼を見るが相変わらず笑っているだけ。

…気味の悪い奴。


「とても美味しいですねこの紅茶。あ、申し遅れました。私Aと申します。」


とりあえずはいい子ぶって彼の様子を見よう。

そう思った。

こう見えたって女優をやっていた。

演技にはそれなりの自信がある。


「Aちゃんかぁ。よろしく〜。僕は第7位始祖のフェリド・バートリーだよ。」


第7位始祖…。

吸血鬼でもかなり上の貴族のはず。

それがなぜ私なんかにこんなことを。


「第7位始祖様ですか。」


「フェリドで良いよ。」


「ではフェリド様。今日はありがとうございました。とても楽しかったです。」


また何か言われる前にすぐに立ち上がってドアノブに手をかける。

すると、


「ねぇ、君さ。それ疲れないの?」


そう言われた。

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ユーリ(プロフ) - ゆゆ助さん» 大好きと言っていただけて嬉しいですっ。ありがとうございます! (2019年3月21日 0時) (レス) id: ec0c133e4a (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - InaNyanさん» 頑張ってると思うと言っていただけて嬉しいですっ。今後もよろしくお願いします! (2019年3月21日 0時) (レス) id: ec0c133e4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ助 - いろいろ口だしてしまってすみません。この作品大好きです、更新頑張ってください! (2019年3月20日 22時) (レス) id: 79e1c2e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ助 - InaNyanさん» ほんとにそれなです。ちょっと注文が多すぎるんじゃないですかね…?そんな言うんなら自分で書いた方がいいと思います。ユーリさんもあーしてこーしてって他人が細かく決めたものを書いていてもつまらないと思いますけど…。 (2019年3月20日 22時) (レス) id: 79e1c2e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
InaNyan(プロフ) - 夏季さん» これは私の勝手な意見ですが、作者様は作者様なりに頑張ってると思うのですが…。こんな部外者がすみません。 (2019年1月29日 20時) (レス) id: 248aef0291 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年12月7日 2時

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