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第27話 ページ30

クルル・ツェペシ。

第3位始祖でありこの地下都市、サングィネムを統べる女王。


彼女はそんな強者であると思わせないような姿をしていた。
可憐な姿で私を興味深そうに見つめる。


「お初にお目にかかります女王陛下。Aと申します。この度はお呼びいただきありがとうございます。」


礼儀正しくお辞儀をし、彼女から返ってくる言葉を待った。


どんなに可愛らしい少女に見えても相手は吸血鬼だ。
それも上位の。

失礼な態度なんてとったら一瞬で殺されてしまうかもしれない。


「そんなにかしこまらなくていいのよ。Aと言ったわね、こちらへ来なさい。」


少し微笑んだ彼女は椅子から立ち上がりその前にある数段だけの階段に座った。

言う通りに近づくとポンポンと自分の隣の床を叩いている。

座れという意味だろう。


「失礼します。」


そう言って座ったが彼女は何もせず、何も言わずに私の顔をただジーッと見ているだけ。


とてもじゃないけど緊張して目が合わせられない。
横を向けない。
何だこの状況は。


「あ、あの。陛下…、」


「クルルで構わないわよ。」


「では、クルル様。私は何故呼ばれたのでしょうか?」


未だ謎だったその質問に彼女は笑って答えた。


「ああ、フェリドが最近あなたの事を可愛がってるって聞いて興味があっただけよ。暇だったし。」


ラクス様の言う通りだった。
クルル様は私に興味があったためここへ呼んだらしい。


「でも何故フェリドはあなたを可愛がるんでしょうね。部屋まで与えたと聞いたけど。」


「はい。こんな私にフェリド様はとても良くしてくださいます。」


まぁたまに…というか最近ムカつくけど。

もちろんそんな事をクルル様に言うつもりもないので心の中にしまっておく。


「あなたは?A。」


「何がでしょうか?」


「フェリドのことをどう思っているの?」


「え…。」


どう思っているかなんて。
そんなの、この口から言えたらどれだけ楽か。


「…フェリド様は、とても良い方だと思ってます。」


「…それだけ?」


「はい。いつもお世話になっていますし、とても感謝しております。」


私が笑うとクルル様も同じようにして笑った。

笑うと更に彼女は美しく、魅力に溢れていた。


「クルル様はお綺麗ですね。」


「あら、ありがとう。あなたとのお話は楽しかったわ。またいつでもいらっしゃい。」


どうやら彼女に気に入られることが出来たらしい。

立ち上がろうとした私の頰に小さな手が触れた。


「あなた、嘘は上手だけど顔には出るのね。」

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ユーリ(プロフ) - ゆゆ助さん» 大好きと言っていただけて嬉しいですっ。ありがとうございます! (2019年3月21日 0時) (レス) id: ec0c133e4a (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - InaNyanさん» 頑張ってると思うと言っていただけて嬉しいですっ。今後もよろしくお願いします! (2019年3月21日 0時) (レス) id: ec0c133e4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ助 - いろいろ口だしてしまってすみません。この作品大好きです、更新頑張ってください! (2019年3月20日 22時) (レス) id: 79e1c2e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ助 - InaNyanさん» ほんとにそれなです。ちょっと注文が多すぎるんじゃないですかね…?そんな言うんなら自分で書いた方がいいと思います。ユーリさんもあーしてこーしてって他人が細かく決めたものを書いていてもつまらないと思いますけど…。 (2019年3月20日 22時) (レス) id: 79e1c2e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
InaNyan(プロフ) - 夏季さん» これは私の勝手な意見ですが、作者様は作者様なりに頑張ってると思うのですが…。こんな部外者がすみません。 (2019年1月29日 20時) (レス) id: 248aef0291 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年12月7日 2時

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