第7話 ページ9
「あの戦争の後、お前はすぐに消えた。どこで何してたんだよ。」
それこそ言えないというものだ。
聞けばきっと銀時は私を軽蔑する。
「まさかそれも言えないのか?ヅラも心配してたぞ。」
「銀時や小太郎には申し訳ないけど、言えない。聞かないほうがいい。」
「……そーかい。」
本当に優しい人だ。
他の人間のように興味本位や私情なんかで追求してこない。
「私、もう行く。」
「行くって、どこにだよ。」
「分からないけど。どこかに。」
私の回答を聞いて銀時はくしゃっと自分の頭をかいた。
そしてスッと立ち上がり私の横へ来て肩に手を置く。
「あのぉ、真選組のみなさん?俺こいつ捕まえるの協力したじゃん?」
その言葉を聞いた瞬間、土方は何やら悟ったのか面倒臭そうにタバコをふかした。
「その報酬といっちゃなんだけど……こいつ、ここにおいてくんない?」
「は?」
「…てめぇ、マジで言ってんのか。俺たちにこの女の面倒を見ろと?」
「いやぁ、役に立つと思うよ?だって俺と一緒に戦争参加したんだよ?真選組にしろとは言わないからさ、お仕事手伝わせてあげるくらい。良くない?」
銀時はニヤニヤとした顔で土方の回答を待っていた。
てゆうか私の意見は…。
「いいじゃないかトシ!この子強いんだろ?他の奴らの稽古でもつけて貰えば!」
ゴリ……近藤がそう言って土方の肩を叩いていた。
「…あーあー!分かったよ!飯付き、寝床付き、仕事あり、給料なしな!」
給料はなしらしい。
「いいの?」
「近藤さんもいいって言ったしいいんじゃないですかィ?あ、でも風呂入るときは気をつけてくだせェ。土方さん覗くんで。」
「覗かねーよ!てめぇだろうがよ!」
「すいやせん、俺は熟女が好きなんで。」
「マジキモいアル。」
神楽、という子はそう言って新八という子の首を締めていた。
何故そういった状況になったのかは不明だが。
「ありがとう、銀時。」
「いいってことよ。」
ニコッと笑って彼は私の頭を撫でた。
ここに来てから助けられてばかりだ。
お登勢にも、真選組の人達にも、銀時にも。
こんなに救ってもらっていいのだろうか。
穢らわしい私なんかが。
『必ず、君のことを大切にしてくれる人はいます。守ってくれる人はいます。』
それが、この人達のことなんだろうか。
分からない。
分からないけど…この場所は、歌舞伎町は、なんだか心地良かった。
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時々雨(プロフ) - 返信頂けて嬉しいです。ありがとうごさいます!のんびりといつまでも待ちますので、無理なく頑張ってくださいね。楽しみにしてます! (2020年9月10日 1時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - 時々雨さん» コメントありがとうございます!続きがなかなか思いつかなくて無理かなぁと思っておりましたが、今回そう言っていただけたのでまたストーリーを考えて頑張っていきたいと思います!時間はかかるかもしれませんが自分なりに作成していこうと思います! (2020年9月8日 21時) (レス) id: 201a018e64 (このIDを非表示/違反報告)
時々雨(プロフ) - コメント失礼します。だんだんと主人公が自分と向き合いはじめ感情に名前がつきはじめ、どうなっていくのかと気になります。続きはない感じでしょうか…?とても気になる内容で是非続きを読んでみたいです! (2020年9月8日 16時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - BT21 さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2019年9月16日 21時) (レス) id: 6f16964e99 (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - 凄い面白いですね松陽先生も出てくるし続き楽しみです更新頑張ってください (2019年9月16日 21時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年6月16日 0時