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第8話 ページ10

「シノア…!!」

彼女が今、優一郎に殺されそうになっていた。


変わり果ててしまった彼の姿に多少驚きながらも急いで救出しに行く。


だが、私が助けるよりも先になぜか金髪の吸血鬼がシノアをかばっていた。


そのシノアは、グレン中佐に促され優一郎を正気に戻そうと呼びかけ続ける。


「お願いします!正気に戻ってください!!」


その後、優一郎は苦しそうな叫び声を上げてそのまま倒れ込んでしまった。



「シノア!大丈夫?」


私は急いで彼女の元へ駆け寄った。
優一郎も元に戻っているようだった。


「はい。なんとか、大丈夫みたいです。」


その言葉にホッとし、グレン中佐の方を見る。


傷だらけになった中佐の首を絞めているのは、フェリドさんだった。


助け出そうと足を踏み出した時、私の視界にあるものが入った。



………赤い、髪。



一瞬で心臓が激しく動き出した。


思わず目を見開いて彼の方を見る。


すると、彼も私が視界に入ったのか、とても驚いた顔で私を見ていた。


言葉が出ない。

何を言えばいいのか分からない。



目が合った数秒後、どこかから深夜さんの鬼の攻撃がきた。


それをかわすために彼とフェリドさんはどこか別の場所へ移動した。



「?!Aさん?どうしたんですか?」


シノアが心配そうな顔で私にそう言った。


「え?」


私は、頰に伝う冷たいものを指ですくい上げた。


どうして涙なんか…。

でも、その涙は止まることなくずっと溢れ出てくる。


顔を上げると、少し離れた所に彼がいた。



行かないと。



気づけば、駆け出していた。


「Aさん?!」

「少尉!本隊が来たのであなたが行く必要はありません!」


後ろで呼び止める声がする。

でも、今はそんなものに構っている暇はない。


早く、あの人のところへ…!



彼のところへ行く前に、フェリドさんが私の前に現れた。

ニッコリと笑って私に言う。


「後悔しないようにね。」


その言葉に頷いてまた駆け出した。





そして、彼の目の前まで来た。



彼は私を見てまた大きく目を見開く。



「……え。…A……?」



困惑したようにして、そう呟いた。


ああ、この声だ。

間違いない。



そこにいたのは、ずっと私が探していた人だった。

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ユーリ(プロフ) - 宙ブラリンさん» 前作から読んでいただけるなんて!!ありがとうございます!コメントせずすみません!イベント参加させていただきました! (2019年12月30日 18時) (レス) id: 0114b7eb58 (このIDを非表示/違反報告)
宙ブラリン - 前作から読みました!切なく、それでいて甘いそんなお話ですね。とても面白かったです!イベントに参加していただきありがとうございました(*^-^*)次のお話も楽しみしています! (2019年12月30日 14時) (レス) id: 15f9c254a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - マリさん» 楽しんでいただけて良かったです!応援ありがとうございます!! (2019年9月15日 19時) (レス) id: cb16296158 (このIDを非表示/違反報告)
マリ(プロフ) - 最初から読ませていただきました!とっても面白かったです!次回作も頑張って下さい! (2019年9月15日 19時) (レス) id: 827ab458fd (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - なぎさん» なんて嬉しいコメント…!ありがとうございます! (2019年6月11日 19時) (レス) id: 58c08e5576 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年2月20日 20時

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