第5話 ページ7
「Aは私の気がするんです。」
全く事情を知らない人から見てみれば、彼女が言ってることは異常で誰も理解しないだろう。
「……生まれ変わりなんて、これだけ生きても聞いたことないけどなぁ。」
フェリドは、フィオレに聞こえない声でそう呟いた。
また静かな時間が流れた時、今度はフィオレが小さな声で言った。
「もう一人、夢に出る人がいます。」
「ほう、誰?」
すると、彼女は少し照れたように頰を赤らめて言った。
「____赤色の髪をした、綺麗な男の人。」
「・・・。」
「顔は霞んでいてよく見えないけど、彼はAの…
いえ、私のそばで笑ってくれているんです。いつまでも“A”と私の名前を呼んでくれる。」
すでにフィオレは夢に出てくるAを自分と同一人物として話していた。
「前世の記憶、でしょうか。」
少し控えめに言ったのは彼に自分はおかしいと思われそうだったから。
だが、彼は楽しそうに笑った。
「前世の記憶があるなんて面白いじゃないか〜。」
「あなたは、Aの…私のことを知ってるんですか?」
ずっと気になっていた。
彼の知り合いだから、私を殺さないんだろうと思ったから。
「まぁね。知ってるよ。でも、詳しくは君がちゃんと思い出すんだよ。」
「でも、思い出せないんです。あの人が誰なのか…」
思い出そうと思ったが近くから聞こえる騒音によって私の思考は遮られた。
どうやら帝鬼軍の援軍が来たらしい。
「残念。もう少し話していたかったけど、もう行かないと。」
「あの、あなたの名前はなんですか?」
そう聞くと、彼はニコッと笑い言った。
「思い出してごらん。僕は君とたくさん話してる。」
『……さん、……リドさん!』
「………フェリドさん。」
心の中の引っ掛かりが一つ、取れた気がした。
合っているか確認しようと彼を見ると、正解したことを褒めるように頭を撫でてくれた。
「…この調子で、彼のことも思い出すといいね。じゃあ僕は行くよ。またね、A・ベネットちゃん。」
そう言ってフェリドさんは一瞬で消えてしまった。
任務も終わり渋谷へと帰るとグレン中佐が出迎えてくれた。
「おー、生きてたか。…お前なんでそんな嬉しそうな顔してたんだ?」
中佐はそう言った。
「本当の名前を思い出したんです。」
彼は少し驚いた顔をしていたが、「良かったな」と言ってくれた。
「はいっ。私は、A・ベネットと言います。」
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ユーリ(プロフ) - 宙ブラリンさん» 前作から読んでいただけるなんて!!ありがとうございます!コメントせずすみません!イベント参加させていただきました! (2019年12月30日 18時) (レス) id: 0114b7eb58 (このIDを非表示/違反報告)
宙ブラリン - 前作から読みました!切なく、それでいて甘いそんなお話ですね。とても面白かったです!イベントに参加していただきありがとうございました(*^-^*)次のお話も楽しみしています! (2019年12月30日 14時) (レス) id: 15f9c254a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - マリさん» 楽しんでいただけて良かったです!応援ありがとうございます!! (2019年9月15日 19時) (レス) id: cb16296158 (このIDを非表示/違反報告)
マリ(プロフ) - 最初から読ませていただきました!とっても面白かったです!次回作も頑張って下さい! (2019年9月15日 19時) (レス) id: 827ab458fd (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - なぎさん» なんて嬉しいコメント…!ありがとうございます! (2019年6月11日 19時) (レス) id: 58c08e5576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年2月20日 20時