第4話 ページ6
銀髪の吸血鬼。
私は、彼を知っている。
どうしても気になってしまって一人でその吸血鬼の元へ向かった。
屋上まで急いで駆け上がる。
…いた。
彼は私の班が戦う姿を楽しそうに眺めていた。
こちらを見向きもしないのに私がいることが分かったのか、口を開いて言った。
「一人で貴族のところに来るなんて勇気があるね〜。僕感心しちゃった。」
やはり。
この声、この話し方、全てに見覚えがある。
会ったことはないはずなのに。
「…力を貸して、紅華。」
ボソッと呟き、一気に彼に斬りかかる。
結構な力を出したはずなのに、彼は簡単に私の攻撃を防いでしまった。
それもこちらを見てないまま。
「はい、残念でしたぁ。僕には絶対に勝てな……」
彼は振り返りながらそう言っていたが、そこで言葉を止めた。
少しだけ目を見開き、私に言う。
「あれ…君さ、僕とどこかで会ってる？」
「私も同じ質問しようと…」
続けて喋ろうと思ったが、さすがに敵の前で隙を見せたらいけない。ましてや貴族に。
すぐに刀を構え直して目の前にいる銀髪の男を見据える。
しかし、心の中の引っ掛かりは消えない。
何故だろう。
緊迫した空気を破ったのは彼の方だった。
「君……、A？」
「え？」
何故、この男がその名前を知っている。
出てくるのは私の夢の中なのに。
どう答えればいいのか分からず黙り込んでいると、彼は建物の縁に座り込んだ。
隙だらけに見えるけど…。
彼は自分の隣をペチペチと叩いていた。
ここに座れという意味だろうか。
なぜか警戒心は薄れていた。
吸血鬼は敵だ。
敵なのに、この人は違う気がする。
私は素直にストンっと彼の隣に座った。
しばらくの間沈黙が続いたが、その空気に耐えられなくて私は口を開いた。
「どうしてAを知っているんですか？」
そう聞くと、彼は笑ったまま答えた。
「んー、ちょっと知り合いにね。似てたから。君こそなんで彼女を知ってるの？」
「……私の、夢の中に出てくるんです。私と同じ顔をした女の人。」
途端に彼は興味を示したようにさらに私に質問を続ける。
「夢の中にAが出てくるの？それって君そっくりなんだ？」
「いえ、なんというか、私があの人になってるんです。」
自分でも何を言っているのか理解できなかった。
彼も少し驚いた顔をしている。
だが、私はポツリポツリと言葉を口にした。
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ユーリ(プロフ) - 宙ブラリンさん» 前作から読んでいただけるなんて！！ありがとうございます！コメントせずすみません！イベント参加させていただきました！ (2019年12月30日 18時) (
レス) id: 0114b7eb58 (このIDを非表示/違反報告)
宙ブラリン - 前作から読みました！切なく、それでいて甘いそんなお話ですね。とても面白かったです！イベントに参加していただきありがとうございました(*^-^*)次のお話も楽しみしています！ (2019年12月30日 14時) (レス) id: 15f9c254a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - マリさん» 楽しんでいただけて良かったです！応援ありがとうございます！！ (2019年9月15日 19時) (レス) id: cb16296158 (このIDを非表示/違反報告)
マリ(プロフ) - 最初から読ませていただきました！とっても面白かったです！次回作も頑張って下さい！ (2019年9月15日 19時) (レス) id: 827ab458fd (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - なぎさん» なんて嬉しいコメント…！ありがとうございます！ (2019年6月11日 19時) (レス) id: 58c08e5576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2018年2月20日 20時
