第29話 ページ31
「ようやくひと段落だね〜。」
そんなこと言って笑っているフェリド君は本当に頭大丈夫かなって時々思う。
女王を裏切り者として吸血鬼達に言ったのはいいけど、これからどうするつもりなんだろう。
「これから先が心配だよ。」
「クローリー君！こうゆう時こそポジディブになろうよ！」
「とりあえず君の頭にネガティブって言葉がないことは分かったよ。」
フェリド君はヘラヘラと楽しそうに笑っているだけだった。
かと思うと、今度は僕の顔を覗き込んでまたニヤついた笑みを浮かべる。
「それはそうとクローリー君？」
「はい？」
「Aは探しに行かなくていいのかい？」
「今ちょうど行こうと思ってたとこ。」
すでにAはこの周辺にいるはずだ。
急いで見つけて連れてこないと。
しかし、そこで余計なことを考えてしまった。
連れて来るって言っても、そこから先はどうするんだろう。
Aを人間側から離し、僕のそばにいてもらう？
多分、彼女は喜んで僕の元へ来てくれると思う。
気になるのはその先だ。
彼女は人間。
人間は不老不死ではない。
つまり、Aと一緒にいられる時間は限られている。
激しく悩んでいたせいか、フェリド君の僕を呼ぶ声に三度目くらいで気づいた。
「クローリー君ってば。聞こえてる？」
「ん？ああ、考え事してて。どうしたの？」
すると、フェリド君はなぜか複雑そうな顔をした。
嫌な予感がする。
「なんなの？早く言ってよ。」
気になってしょうがない。
彼は腕を上げて、ある場所をスッと指差した。
よく意味が分からず首をかしげ、フェリド君から次に出て来る言葉を待った。
「あそこ、Aがいる。一人だからすぐ連れてこれると思うよ。」
「本当？良かった。ならすぐ迎えに…」
歩き出そうとした僕をフェリド君が腕を掴んで止めた。
不思議に思っていると、彼の口から聞きたくなかった言葉が出てきた。
「クローリー君…君は、また選ばなきゃいけないみたいだよ。」
「…え。それって…。」
「数百年前のあの時と一緒になっちゃったね。二つに一つだよ。また彼女を見送るか、化け物にするか。」
フェリド君の言った言葉の意味を理解し、自分でも驚くくらいの速さでAの元へ急いだ。
無事でいて欲しかったのに。
やはりあの時一緒にいてあげるべきだった。
僕のせいで、また彼女が死んでしまう。
「A！！」
血に染まり、地面に倒れ込んでいる彼女は微笑んでいた。
「遅いよ…クローリー。」
か細い声で、彼女は僕の名を呼んだ。
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ユーリ(プロフ) - 宙ブラリンさん» 前作から読んでいただけるなんて！！ありがとうございます！コメントせずすみません！イベント参加させていただきました！ (2019年12月30日 18時) (
レス) id: 0114b7eb58 (このIDを非表示/違反報告)
宙ブラリン - 前作から読みました！切なく、それでいて甘いそんなお話ですね。とても面白かったです！イベントに参加していただきありがとうございました(*^-^*)次のお話も楽しみしています！ (2019年12月30日 14時) (レス) id: 15f9c254a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - マリさん» 楽しんでいただけて良かったです！応援ありがとうございます！！ (2019年9月15日 19時) (レス) id: cb16296158 (このIDを非表示/違反報告)
マリ(プロフ) - 最初から読ませていただきました！とっても面白かったです！次回作も頑張って下さい！ (2019年9月15日 19時) (レス) id: 827ab458fd (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - なぎさん» なんて嬉しいコメント…！ありがとうございます！ (2019年6月11日 19時) (レス) id: 58c08e5576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2018年2月20日 20時
