第16話 ページ18
「じゃあ僕は四階あたりを撃つから、与一くんは五階で。」
そう言っているのは深夜さんだ。
名古屋市役所に着いた私たちは、吸血鬼たちを狙撃するために建物の上で待機している。
死なないでねクローリー。
そう思った矢先、与一が叫んだ。
「ご…五階の窓際に吸血鬼がいます!気づかれる前に狙撃許可を!!」
「な!」
「撃て!撃って殺せ!」
しかし、与一の攻撃があたることはなかった。
でも今のは絶対に避けられないタイミングだったはず。
それほどクローリーが強いということだ。
その事実に少しホッとしている自分がいた。
これで彼が中佐たちに殺されることはないと。
「こっちの作戦はこうだ。クローリー・ユースフォードへの攻撃は一瀬グレン隊だけてやる。鳴海隊、シノア隊はその隙に人質を解放しろ。」
「待ってくださいグレン中佐。」
私の一言に彼はこちらへ向き「何だ。」と言った。
「私も連れて行ってください。私なら足手まといにはならないはずです。」
一分でも早く、一秒でも早く彼の元へ行きたい。
「うわぁ、なんて欲望。クローリーに会うためなら仲間も捨てるつもりなんだ?」
そう言った紅華の声が頭の中で響いた。
そうだよ。
クローリーのためなら私は何でもする。
それが、あの時彼を苦しめてしまったことの償いになるのなら。
しかし、それは叶わなかった。
「ダメだ。お前はシノア達と人質を救出しろ。」
「な、なぜですか!行かせてください!」
思わず声を上げてしまったが、グレン中佐は真っ直ぐと私を見て言った。
「…あいつ、クローリー・ユースフォードと何かあるんだろ?」
「・・・。」
中佐の言葉に周りの人達は少しだけ困惑していた。
「え?」
「Aさん?」
その質問に答えることが出来なかった。
だって事実だから。
「……中佐は、私が吸血鬼たちの仲間だと?」
「そうは言ってない。ただ、あいつを前にしてこの前みたいに取り乱されてもこっちが殺される。そう思っただけだ。」
確かに一理あるかもしれない。
クローリーが私のことをAだと思ってないなら尚更だ。
私も一緒に殺される。
「…分かりました。」
納得は出来ないが一応返事だけした。
この機会を逃すわけにはいかない。
人質を解放したらすぐにでもクローリーのもとへ行ってやる。
私は小さく深呼吸をした。
もしかしたら殺されるかもしれないという覚悟を決めて。
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ユーリ(プロフ) - 宙ブラリンさん» 前作から読んでいただけるなんて!!ありがとうございます!コメントせずすみません!イベント参加させていただきました! (2019年12月30日 18時) (レス) id: 0114b7eb58 (このIDを非表示/違反報告)
宙ブラリン - 前作から読みました!切なく、それでいて甘いそんなお話ですね。とても面白かったです!イベントに参加していただきありがとうございました(*^-^*)次のお話も楽しみしています! (2019年12月30日 14時) (レス) id: 15f9c254a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - マリさん» 楽しんでいただけて良かったです!応援ありがとうございます!! (2019年9月15日 19時) (レス) id: cb16296158 (このIDを非表示/違反報告)
マリ(プロフ) - 最初から読ませていただきました!とっても面白かったです!次回作も頑張って下さい! (2019年9月15日 19時) (レス) id: 827ab458fd (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - なぎさん» なんて嬉しいコメント…!ありがとうございます! (2019年6月11日 19時) (レス) id: 58c08e5576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年2月20日 20時