第38話 ページ42
「喉が渇いたって…飲み物ならここにあるのに。」
テーブルの上にある紅茶を見て不思議そうにハンジは呟いた。
今度はそれを見たエレンが言った。
「Aさんって、なんか…変わってますよね。」
少し控えめにそう言うと、ペトラたちは首を縦に振り頷いた。
「そうそう。分かっているのは名前だけ。
しかも数年も一緒にいるのに私達Aと食事したことなんて一度もないのよ?」
その事実にエレンは驚きながら声をあげた。
「ええ?!一度もですか?」
「あいつご飯食べるってなっても、1人だけ食べずにどっか行ったりしてるんだよな。」
オルオもそう言って考え込んでいる。
「そういえばお前、Aと知り合いだったのか?地下牢に行った時すでに知っていた風だったが。」
リヴァイは紅茶を飲みながらエレンに聞いた。
「知り合い、というか…シガンシナで初めて会って避難所とかでパン分けてもらったりしただけです。
あ、ちなみにAさんの出身はシガンシナじゃないと思いますよ。」
エレンの言葉を聞いて他の全員は更に深く考え込んでしまった。
「なんか今更だけど本当不思議だよね、Aって。私もあの子と初めて話した時いろいろと驚かされたし。」
ハンジの言葉を聞き、エレンはなにかを思い出したように「あ」と声をあげた。
「そういえば、俺が巨人になって暴走した時に不思議なことを聞きました。多分、あの声はAさんだと思うんですけど…。」
そう言うとリヴァイ達は興味深そうにしてエレンの話を聞き出した。
エレンは、あの時のことを思い出して言った。
「俺にアルミンが必死に声をかけてて、それでも起きないせいか、Aさんがこう言ったんです。」
“ 一生家畜として暮らすのも、お前たち人間に相応しい生き方だ ”
その時のことを思い出したのか、エレンは少し怯えた顔をした。
あの言葉は、まるで人間を見下したように、冷たく無慈悲な声色だったから。
「…なに、それ。まるでAが人間じゃないみたいな言い方。」
更にAの正体が分からなくなったまま、ただ疑問だけが残った。
「…まぁ、今は一ヶ月後の壁外調査に集中しろ。俺もあいつの事が気にならなくもないが、それはまた今度だ。」
リヴァイがそう言ってAの話は終わった。
だが、次は巨人の話が始まり、エレン1人だけ朝までハンジの話に付き合わされることとなった。
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ユーリ(プロフ) - シュビィさん» 2度もコメントありがとうございます!とっても嬉しいです!! (2018年3月24日 15時) (レス) id: c26a4cf818 (このIDを非表示/違反報告)
シュビィ - 今回も良かったです!この続きがすごくきになります!!! (2018年3月24日 15時) (レス) id: 15eeb3cf2b (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - 暇人さん» 好きと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2018年3月22日 16時) (レス) id: d3fcfe1e08 (このIDを非表示/違反報告)
暇人 - 続きが気になる! この作品とても好きです! (2018年3月22日 16時) (レス) id: 3e9479faaa (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - シュビィさん» 褒めていただきありがとうございます!更新頑張ります! (2018年3月19日 21時) (レス) id: c26a4cf818 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年1月7日 2時