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第14話 ページ16

「A・フィリスです。よろしくお願いします、ハンジさん。」

彼女は可愛らしい笑みでそう挨拶をした。

この子のどこがおかしいんだろう。私には普通に感じるけど。

「悪いね、疲れてるのに。体調は大丈夫?良くないって聞いたけど。」

「え、えっと〜大丈夫みたいです。」

「ならよかった。」

笑ってそう言うと彼女も微笑む。

「どう?ここには慣れた?」

「はい。皆さんとても良い方達ですね。分からないことは優しく教えてくれますし。それに…」


…なんだろう。この違和感は。

確かにニコニコしてるし、良い子だと思う。

けど、この笑顔は…


明らかに、作ってる。


「ねぇ、Aはさ。巨人を殺したいって思う?調査兵団は壁の外に出るから危険はつきものだ。なのによくリヴァイの誘いをその場で了承したね。」

するとAは乾いた笑みを浮かべた。

「人間達のために戦おうって思ったから入ったんですよ。行くあてがなかったというのもありますが。」


君は、嘘をつくのが上手だ。でも、私は観察が好きだから見破れる。

優しく微笑んで、彼女に言った。

「私は、君からどんな答えが返ってきたとしても咎めたりしないから、本当に思ってることを言ってくれて構わないよ。」

すると、彼女の顔からスッと笑みが消えた。
かと思うと、その赤い綺麗な目を細めて妖艶に、そして冷酷に笑った。


「ハンジさんは、この世界をどう思いますか?朝起きて、ご飯を食べて、夜になれば寝る。もしこの世界に巨人がいなかったとしても、きっと同じ生活をするこの世界。それって本当に、







__________退屈。」


きっと、本当にそう思ってるんだとわかった。

でも、何故だろう。
どうして、その彼女の美しい表情にこんなにも恐怖を感じるんだろう。


「じゃあ、Aが調査兵団に入ったのは…」

「もちろん、退屈をしのぐためですよ。
今まで、どんな事をしても私の人生はつまらなかった。いろんな時代があっても、私の暇を潰せるものはありませんでした。」

「ははっ、まるで何百年も生きたかのように言うんだね。」

そんな事を言うと、Aはニッコリと微笑むだけだった。

「私の答えは、ハンジさん達を失望させるものでしたか?」

「私はAの考えを咎めることはしないよ。そう言ったじゃないか。

じゃ、長くなってしまってごめんね。おやすみ。」

ドアを開けてそう言い、Aの部屋を出た。


「…人間は本当に愚かね。」


この時、私はAがそんな事を呟いていたなんて思ってもみなかった。

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ユーリ(プロフ) - シュビィさん» 2度もコメントありがとうございます!とっても嬉しいです!! (2018年3月24日 15時) (レス) id: c26a4cf818 (このIDを非表示/違反報告)
シュビィ - 今回も良かったです!この続きがすごくきになります!!! (2018年3月24日 15時) (レス) id: 15eeb3cf2b (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - 暇人さん» 好きと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2018年3月22日 16時) (レス) id: d3fcfe1e08 (このIDを非表示/違反報告)
暇人 - 続きが気になる! この作品とても好きです! (2018年3月22日 16時) (レス) id: 3e9479faaa (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - シュビィさん» 褒めていただきありがとうございます!更新頑張ります! (2018年3月19日 21時) (レス) id: c26a4cf818 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年1月7日 2時

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