第8話 ページ10
目にも留まらぬ速さだった。
人間の私では反応しきれない。
少し息を呑んだ瞬間、フワッと体が浮いた。
と、同時にフェリド様が遠くへ飛ぶ。
あまりに一瞬の出来事で、その場にいた私を含める人間は皆目を丸くしていた。
私を片腕で抱き上げている人物を見ると、眉間にシワを寄せている。
「図に乗るな、フェリド・バートリー。」
離れたところにいたはずなのに…一瞬でここまで来るなんてすごいなぁ、なんて呑気に思う。
横を見ると、レスト様が足を下げているところだった。
どうやらフェリド様を蹴り飛ばしたのは彼らしい。
私の血を諦めた彼は、近くにいた君月の喉元に喰らい付いていた。
ギュルギュルと血を吸い、目元にあった痣が消えていく。
飲み終わると、バッと雑に君月から手を離した。
「危っなーい、殺しそうだった。でもまだ足りない。おかわりがいる。……Aちゃんの血は、きっと蕩けるくらい美味なんでしょうね。」
目を細め、舌舐めずりをした彼は私を見た。
少し身震いし、ギュッとウルド様の服を握る。
「あは、そんなに身構えなくても吸わないよ。ていうか吸えないし。」
「そいつらはなんだ？」
「最近お気に入りの子たちです。」
お気に入りの子、そう言われているがシノアたちには未だ焦りの表情しか見えない。
「お前が無能だから都市は奪われた。」
レスト様の言葉に、フェリド様は首を横に振る。
「いやいや。裏切り女王のもとで僕は結構頑張りましたよ。ね…クローリー君、そうだよねぇ。」
そう言われた彼は、あまり関わりたくないのか笑って息を吐いただけだった。
それを黙って見ていたウルド様が、急にある一点を見つめている。
「ウルド様？」
何かに気づいたのか、怪訝そうにそちらを見ていた。
「血の匂い。だが急に消えた。」
「え…。」
「行くぞ。付いて来い、レスト・カー。」
そう言うと、ウルド様は腕からポンっと私を下ろした。
少し雑に下され、ふらつきながらも足に力を入れる。
振り返ると、もう彼はいなかった。
「…速い。」
ボソッと呟き、フェリド様を見ると何故か満足そうな笑みを浮かべていた。
その表情に首を傾げる。
＿＿＿＿気づかれてはいけない
「え。」
また…あの声が聞こえた。
今度こそはっきりと。
頭の中で響いているのか、周りから聞こえているのかよくわからない。
＿＿＿＿彼が来ている
君の存在が知られればまずいことになる
「…誰？」
小さくそう呟き、辺りを見渡す。
しかし、もちろんその声の主らしき人はいなかった。
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ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
