第7話 ページ9
私の手を掴んだのは鳴海だった。
「バスに戻ってるんだ。」
「Aさん、鳴海さんの言う通りにした方がいい。きっとあの吸血鬼たち上位だよ。危ない。」
与一までもがそう言った。
「危なくないよ。鳴海、手を離して。」
「わかった。でもバスに戻れ。」
渋々手を離し、鳴海はそう言うがもちろん従うつもりはない。
隙を見て私は一気に駆け出した。
「上位始祖のみなさま、お待ちしておりま……あ。」
フェリド様が途中で挨拶を止めたのは、私が彼の前を走って行ったからだ。
「あ、あいつ何してんだ…！」
「Aさん！戻って！」
「まずい…っ、吸血鬼に殺られるぞ！」
シノア達は焦ったように声を出すが、何故そんなことを言うのかよく分からなかった。
必死に走り、目的の人物の腕にしがみつく。
「ウルド様っ。」
「何をしているA。」
「フェリド様が途中で拾ってくれたんです。」
そう言って彼の方を見ると、笑顔で手を振った。
周りにいた優たちは、口を開きっぱなしにしてこちらを見ている。
「…ど、どういうことだ…。」
「まさかAちゃんまでいるとは思わなかったです。第二位始祖様のお気に入りが1人で彷徨ってたので連れて来てあげました。」
「ありがとうございます。助かりました。」
私がそう言うと、フェリド様はニッコリと笑う。
そして、レスト様が近くにいないことに気づいた。
「ロシアからの長旅ご苦労様でした。退屈なされませんでし………え。」
笑ったままフェリド様はフリーズした。
レスト様が彼の心臓を貫いたからだ。
「…わっ。」
その光景を目の当たりにし衝撃的だったが、吸血鬼と共に過ごしていた私からすれば特に混乱する程のことでもない。
レスト様の手には心臓が握られている。
「あれ死なないんですか？」
「あれくらいじゃ私たちは死ねない。まぁ鬼になるかもしれないが。」
「おにって？」
「鬼は鬼だ。」
説明になっていないが…。
そう思ったが深くは追求せず、私はレスト様の近くに行った。
「クルル・ツェペシはどこだ。」
「私の……屋敷に…。」
「レスト様、心臓を戻してあげないと苦しそうですよ。」
「うるさい。いいんだよ別に。」
そう言っていると、フェリド様の目元からズズッと痣のようなものが浮かび上がって来た。
…少し、綺麗かも。
「心臓を戻せ、レスト・カー。鬼になるぞ。」
ウルド様の言葉通り、レスト様が心臓を戻した瞬間だった。
ダンッと地面を蹴る音が聞こえ、フェリド様が勢いよく私目掛けて飛びかかって来た。
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ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
