第45話 ページ50
《僕がいるから君の中にある呪いを少しは抑えられる。思い出してくれたから》
「呪いって…。」
《神の使命のことだよ。断罪なんてしなくていい。君は、普通の人間の女の子でいい》
そう言いながら、彼は綺麗に微笑んだ。
《僕が手伝うから、君は自我をしっかり保って。弱気になっちゃ駄目だよ。体を取られる》
その言葉に強く頷いた。
「少し、怖い。」
《大丈夫、僕がついてる》
今自分は現実の世界でどうなっているのだろう。
自分では無い自分が何をしているのだろう。
こんな怖い力を授けるなんて。
「……私、神様は嫌い。」
《知ってるよ》
「だって、助けてくれなかった。」
《そうだね》
「…お父さんとお母さんに殺されそうになった時、いつも決まって何かが起きるの。私を助けてくれるみたいに。……もしかして、あなたが…？」
ふとそんなことを思い出して問いかけてみれば、彼は何も言わずにまた笑った。
これは肯定の意味ととって良いのだろう。
《さあ、そろそろ目覚めないと。君がフェリドの手首の骨を折ってる》
「それくらいならしても良いと思う。」
《ふふっ。そうかもね。
……何もかもが終わったら、ウルドの所へ帰ろう》
彼の口から出た愛しい人の名前に少し涙が出そうになった。
無事に生きて帰れたら、ウルド様は私を抱きしめてくれるだろうか。
《さぁ、目を閉じて。僕の愛しい子》
彼の言葉に従うと、一瞬で意識が遠のいた。
＿＿＿＿＿＿＿＿
no side
「僕さぁ、グレン君たちにあの天使を止める薬渡してくるからAちゃんの相手任せて良い？」
「ちょっと待ってよ！この状況で？！」
呆れた表情でフェリドを見るクローリーの懐にAが入り込んだ。
手には妙な色をした短剣が握られている。
身長の低い彼女は、下からクローリーの喉元に向かってそれを一気に突き刺そうとする。
彼が剣でそれを防ぐと、互いの力の反動で一度距離を取った。
「やばい。速いね。」
「そりゃ神の愛し子と言われるくらいだから。きっと素敵な恩寵を受けてるよ。」
「あの短剣もいきなり出てくるし。何なのほんと。」
「攻防の繰り返しじゃ終わらないよ。とりあえず気絶させて。速いけど僕らほどじゃない。」
その言葉に、彼女はまた不快そうに眉を顰めた。
フェリドがその場を後にし、残ったクローリーがAに向かって笑う。
「ごめんね。ちょっと傷が出来ちゃうかも。剣よ、僕の血を吸え。」
言い終わるのと同時に、クローリーは地面を蹴って一気に距離を詰めた。
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ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
