第43話 ページ48
no side
「あっ、見たら駄目だって。」
自分の背後から顔を覗かせるAに気づき、クローリーは慌てて彼女の前にまた立つ。
食い入るように天使を見つめていた彼女は、困ったような表情を浮かべて今度は両手で頭を抱えた。
「Aちゃん？」
「く、クローリー様。私…変なんです。」
「変って、何が？」
「頭が変な感じがする。自分の意思じゃないはずなのに、言葉が出てくる。」
「それは彼の…」
「違う…ッ。あの子じゃない。」
眉間にしわを寄せ、彼女は苦悶した表情を浮かべた。
クローリーは如何するべきかわからず、少し離れた所にいた彼を呼ぶ。
「フェリド君。」
「ん〜？」
「Aちゃんが…。」
その言葉にフェリドは彼女に近づく。
シノア達も何が起こっているのかと不安げな顔を浮かべた。
「Aちゃん。」
「フェ、リド様…。」
「“ 彼 ”のせい？」
「ち、がう…。あの子は止めようとしてくれてる。何かを…。でも、なんだか天使を見たら…」
「見たら？……Aちゃん？」
フェリドが彼女の方に手を伸ばした瞬間、その手首をガッと掴んだ。
また彼が出てきたのか。
フェリドとクローリーはそう思うが、Aは一向に言葉を発しなかった。
刹那、爆発音が響き天井が突き破られた。
天使と優の格闘が始まる。
「だめだ優ちゃん！その力を使っちゃ…！」
ミカエラの叫びを聞かず、飛び出した優一郎を見て次にグレンを睨む。
「優ちゃんに何をさせようとしている！これはなんの実験だ！」
「大丈夫。あの天使は弱ってる。吸血鬼よりも弱いよ。……それよりも、今はこの子だ。」
フェリドが見下ろすと、ゆっくりとAは顔を上げた。
いつもの彼女とは明らかに違う。
フェリド達の前に現れた彼でもない。
凛とした表情を浮かべ、その小さな口を開く。
「断罪します。」
「…Aちゃん？」
「あなたは禁忌に触れた。だから…」
「僕を裁くの？ああ、なるほど。だから神の使いなんだ。禁忌に触れる者に裁きを…ね。」
楽しそうに語るフェリドに不愉快そうな視線を向け、彼女はグッと手に力を込める。
「…あ。手首の骨折れた。クローリー君、Aちゃんが僕の骨折っちゃった。」
「笑い事じゃないんだけど。なに、今度は誰。」
剣の柄に手をかけ、クローリーは彼女を眺めた。
そして、フェリドは唖然とするシノア達に笑いかけて言った。
「君たちは優ちゃんの所へ行った方が良いと思うよ。グレン君も。」
その言葉に頷き、彼らはその場を後にした。
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ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
