第41話 ページ46
「お、もう始めるかなぁ〜。」
ふと、フェリド様がそんな言葉を漏らしながら楽しそうに歩いて行った。
それに続くようにクローリー様も立ち上がると、私を見て言った。
「君も来るかい？」
「でもシノア達が…」
「彼女達もすぐ来ると思うから僕らは先に行ってようよ。ほら、おいで〜。」
手招きする彼を軽く睨みながら、私もクローリー様の後を追った。
「……Aちゃん、歩きづらいんだけど。」
困ったように微笑んだクローリー様は、遥かに身長が低い私を見下ろした。
当然だ。
何せ私は今彼のマントを力強く握りしめてピタリとくっついているのだから。
「あは、懐かれてるねクローリー君。僕にもギュってして欲し……」
「フェリド様のせいなんですが？」
「なんで？僕何もしてないよ？」
「絶対ウルド様に言いつけます。」
「それは困るなぁ。」
ヘラヘラと笑っている彼は全然困っていなかった。
横にいるクローリー様はひとつため息をついている。
「それで、どこに向かっているんですか？」
「可愛い天使君がいるところだよ。」
「……天使。」
＿＿＿天使
＿＿＿セラフ
＿＿＿＿＿神の、使命を…
《駄目だよ、その使命は果たさなくて良い
思い出さなくて良い》
どうして？
《神なんて、使えればなんでも良いんだ
毎夜祈り続ける君を選んだのは、都合が良かったから
次に失敗したら、君はもう助からない》
どうゆう意味？
「Aちゃん。」
ハッとし、顔を上げるとフェリド様が不思議そうに私を覗き込んでいた。
「僕が呼んだのこれで3回目だよ？どうしたの？」
「…いえ、別に…。」
「……ふーん。あ、着いたよ。」
彼の言葉に顔を上げると、そこには妙な模様？みたいなものがあった。
フェリド様はそれを結界だと言った。
化物を封じている結界だと。
「ほら、入るよ〜。おいで？」
「…何だか、怖いです。」
「大丈夫だよ。優ちゃんもミカ君もいるし。」
「私は、入ったら駄目な気がします。」
「どうして？」
何故かはわからない。
でも最近、たまに自分が自分じゃなくなる時がある。
それは決まって、『終わりのセラフ』と関わった時だった。
自分が妙なことを口走る。
《……入らなくても良いよ 》
「おいでよAちゃん。」
中にはきっと、天使がいるのだろう。
そんな気がした。
何故かはわからないけど。
……けど、やっぱり知りたい。
自分が何者なのか。
ぐっと拳を握りしめ、フェリド様とクローリー様と共に私は一歩踏み出した。
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ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
