第38話 ページ43
no side
部屋に入ったクローリーは、今の状態を見て僅かに目を見開いた。
当然だ。
微かな甘い血の香りから、フェリドがAの血を無理やり吸ったのだろうとわかった。
ソファに押し倒されている彼女の服が、少し乱れているのも目に入る。
彼に如何わしいことをされていたのだろう。
問題は、か弱い筈のAがフェリドの首を掴んでいることだ。
フェリドも同様、彼女の首を締めている状態。
「……え、っと…。」
「あ、ちょうど良かったクローリー君。Aちゃんを拘束してくれない？」
「…は？何それ、どうゆうこと。」
「……手を出すな。クローリー・ユースフォード。」
いつもと違う彼女の口調。
重なるように聞こえた少年の声。
自分を睨むAの表情は美しいが、怒りを含めた鋭い瞳をしていた。
「…Aちゃん？」
「今は違うよ。君の名前は何？」
「Aから手を離せ。」
「質問に答えてよ。名前は？自己紹介は仲良くなる為に大切だって知ってる？」
「お前には言わない。言う必要がない。」
未だお互いが手を離さず、フェリドは笑い、どうするべきが最善かを考えた。
Aの中にいる彼は誰か。
強さは？
目的は？
何もわからない状態で手を出すのは愚作だ。
「…うーん。今日のところは諦めようかな。」
「二度目はないよ、フェリド。」
「あは、一度Aちゃんの血を飲めただけ十分だよ。僕は大満足。」
「……次にまた僕の愛し子を傷つけたら、その時はお前を八つ裂きにする。」
冗談ではないだろうその言葉に笑顔で頷いた。
スッとAから手を退けると、彼女も……いや、彼もフェリドから手を離した。
「Aちゃんの顔で八つ裂きとか言わないでよ〜。何だかゾクゾクしちゃう。」
「フェリド君…。」
ため息をついたクローリーを見て、またフェリドを見上げた。
「……お前の計画の邪魔はしない。でも、僕の愛しいAを巻き込むようなら……」
「わかってるって。出来る限り僕らがAちゃんを守ってあげるし。ね？クローリー君。」
「まぁ、うん。」
「僕はいつでも見張っているからね。」
「やだなぁ。こわーい。僕ってばこう見えて臆病なんだから。」
そんなフェリドの言葉に、Aの顔が呆れたように眉を寄せていた。
静かに彼女の瞳が閉じられると、暫く経ってまたゆっくりと薄い青色がフェリドを見つめた。
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ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
