第36話 ページ41
no side
「初めて君をロシアで見た時、どうしてこの子がウルド様のお気に入りなんだろうってずっと考えてた。」
ドクンッと何度も脈打つ心臓の音が聞かれ、フェリドは更に楽しそうに笑う。
「心臓の動きが激しくなった。怖がってる。」
「こ、怖くない…っ。」
「嘘。今にも泣きそうな顔してるのに？」
クスクスと笑うフェリドは言葉を続けた。
「僕はいつでも君を殺すことが出来るんだよ？死なずにウルド様のところに帰りたいだろう？」
「……帰りたい。」
瞳に涙がたまり、震えた声でそう言った。
あの人の名前を出せば、Aが弱くなるのを知っている。
もう既に、彼女はフェリドの手の中だ。
彼の思い通りにことが進む。
ゆっくりと、フェリドの口角が上がった。
「帰りたいよねぇ。でも、無力な君は一人じゃ生きられない。そこで僕の登場！Aちゃんを守るよ。絶対にね。」
「でも…。」
「必ずウルド様のそばへ帰してあげる。彼を抱きしめたいだろう？声も聞きたい…でしょ？」
フェリドの言葉に誘導され、頷く。
「抱きしめて、声を聞いて…ね？その続きもしたい。………こんな風に。」
フェリドはガッとAの顎を掴むと、その小さな口に自分の口を重ねた。
「…っ？！」
ぬるっとした感覚が口内を襲い、Aの青い瞳が見開かれる。
それと同時にポロっと涙が溢れた。
「んぅ…っ、ん…ふ…！」
「……あは、Aちゃん泣いてるの？」
口を離したフェリドは楽しそうに目を細めた。
「でも気持ちよかったでしょ？なんならもう一回してあげようか？」
そう言いながらもう一度顔を近づけると、彼女はビクリと震えて顔を背けた。
「傷つくなぁ。ただのキスじゃないか。それに、まだこれじゃ終わらないよ。」
「やだ…。フェリド様、やめて…。」
「だーめ。……ずっと飲んでみたかったんだよね。」
待ち望んでいたかのように、フェリドの口から鋭い牙が覗いた。
「フェリド様、お願いします…。離して。」
「しつこいよAちゃん。諦めてよ。君は馬鹿じゃないでしょ？」
「わ、私は……ウルド様のものなんです。だから…」
「へぇ、そう言われたんだ。彼も案外独占欲があるんだね。でもさ……そんなこと言われたら、余計に君を壊したくなる。」
自分の発言が、更に悪い方向へと進めてしまったことを後悔した。
「知ってる？誰かの大切なものをめちゃくちゃにする時って＿＿＿＿＿楽しいんだよ。」
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ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
