第23話 ページ25
寝られないと言っても眠気はくるものだ。
私がウトウトし始めた時、ミカエラが呟いた。
「天気いいね。星がよく見えるよ。」
「うん？んー、そうだね。」
「…寝ればいいのに。」
「もう少しだけ。」
きっと彼も暇なんだろう。
そんな他愛もない話を私にするなんて。
小さく欠伸をし、ミカエラと同じように窓のそばへ移動した。
空を見上げれば、彼の言う通り雲ひとつなく星が光り輝いている。
暇な二人で、ただボーッとそれを眺める。
不意にミカエラが呟いた。
「小さい頃に聞いた話なんだけどね。」
「うん。」
「天気が良い時は、彼女がある程度落ち着いてるんだって。」
「…え？」
何か、聞いたことあるような…。
「彼女が苦しみ、悲しむと雨が降るらしいよ。天気が荒れたりしてね。」
その言葉に息を呑む。
……リーグが言っていた言葉だ。
どうしてミカエラが知っているのか。
「それ、なんで…。」
「ある人が教えてくれたんだ。あの人も100%そうなるとは言ってなかったけど。」
「…彼女って？」
「さぁ。そこは教えてくれなかった。誰のことなのか分からないままだよ。」
ドクンと心臓がまた大きく動いた気がした。
『君が苦しみ、悲しむから雨が降るんだよ。』
リーグの言うことが本当なら、彼女とは私のことだ。
でも何故ミカエラが彼と一緒にいたんだろう。
「…その人とはどうゆう関係なの？」
「僕がいた孤児院に出入りしてたんだ。」
孤児院？
どうしてリーグはそんな所に？
考えても考えても分からない。
思い出そうとするとまた頭が痛くなる。
《辛いなら、やめたって構わないんだよ》
またあの子の声が聞こえた。
頭の中に響いてくる。
《無理に思い出さなくても良い
記憶操作で思い出そうとすると痛みが伴う
君はもう何千年と苦しんだ
その使命から逃げたって誰も咎めない
ただ、愛しい人のそばにいるだけでも良い》
…ウルド様のそばに？
でも、思い出さないと。
あなたの事も、思い出さなきゃいけない。
一人にはさせたくない。
《…優しいね、僕はそんなAが大好きだよ》
柔らかい声に安心し、気づけば目を瞑っていた。
「…あ。ちょ、ちょっと！立ったまま寝ようとしないでよ！」
ミカエラの焦った声を最後に、スッと私の意識は遠のいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 267人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
