第18話 〜記憶〜 ページ20
no side
数多の鎖が飛び交い、A目掛けてその脅威を振るうが彼女はそれを華麗にかわす。
狭い空間の中で、激しい動きを繰り返す。
「…早いな。けど、本来の力は出てない。」
ニヤッと笑い、リーグは一気にAとの距離を詰めた。
「っ？！」
「ざーんねん。」
その瞬間、彼女の首元をガッと掴む。
細い首は手にすっぽりと収まり、背中から地面へと叩きつけられる。
「ぐ、ぁ…！」
激しい衝撃が彼女を襲い、青い瞳は静かに閉じられた。
「…とりあえず気絶したかな。」
「殺さないのですか？」
バステアの質問に、気を失ったAを抱きながら彼は笑った。
「神の使いはね、何度も生まれ変わるんだよ。僕が最後に会ったAは二百年か、三百年以上前だけどね。」
Aを部屋の真ん中にある椅子に座らせ、リーグとバステアはその場を離れた。
「見てごらん。あんな子供でも美しさは際立ってる。さっきまで僕を殴ってたのにね〜。」
「これから何を？」
「Aの記憶を奪う。神の使いの使命は禁忌に触れる者を断罪すること。その使命ごと忘れさせてしまえば邪魔はしなくなる。」
「俺はてっきり力を使うのかと。」
「それも思ったけど、信仰心のない彼女はもはや何の役にも立たない。記憶を抜いてロシアへ帰す。」
リーグが目配せすれば、周りにいた研究員達は頷く。
何もない部屋のど真ん中で座らせている彼女の目がうっすらと開いた。
自分の状況を見て、ひたすら混乱する。
「…もとの彼女に戻っているようですが。」
「二重人格みたいなものなんだ。誰かを断罪する時だけさっきみたいなAに変化する。」
Aは泣きそうになりながらリーグを見つめた。
「怖い…。何をするの？」
「言っても忘れる。」
「…………僕は忘れないよ。」
「…おや、今度は君か。」
一瞬でAの表情は変化した。
怯えているわけでも、凜然としているわけでもない。
鋭い眼光でリーグを睨んだ。
「Aはお前らの道具じゃない。」
「何も出来ないくせに口だけは達者だね。どうせこの数百年Aを守り続けて力を使ったんだろ？無力な君は彼女に思い出してすらもらえない。」
「…それでも、僕はこの子を守る。約束したんだ。」
「その約束は今、破られる。」
リーグは笑い、Aの中にいる“ 彼 ”に向かって言った。
「もう二度と会うことはないだろうね。せいぜいAを守ってみせてよ。」
その言葉を最後に、彼女の記憶はリーグによって奪われた。
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ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
