第17話 〜記憶〜 ページ19
no side
少女はただ黙って歩いた。
不意に、自分と手を繋いでいる男を見上げる。
「…あなたの名前は？」
「僕かい？そうだなあ、『斉藤』『第二位始祖』『リーグ・スタフォード』どの名前が似合う？」
「リーグ、が言いやすい。」
「君はロシアに住んでたからねぇ。その名前は捨てたんだけど、まぁいいか。」
手を引かれ、白い建物の中へと入る。
その中にはいくつもの人間がいて、彼らはAの存在に気づくと目を見張った。
「…っ！」
「大丈夫、彼らは殴らないよ。」
リーグはそう言い、笑いかける。
その表情を見て、不安がりながらもまた黙って彼について歩いた。
「リーグ様。」
その声に2人が振り返る。
Aは違和感を覚えた。
赤い瞳に尖った耳、そして綺麗な顔立ち。
「その子供が例の…。」
「そうだよバステア。いつもなら彼に邪魔されるんだけど、どうやら力を使い過ぎてるようだ。」
その会話を聞きながら、Aはあるものに目を奪われた。
ガラスの向こう側にいくつも並ぶ牢屋。
その中にいる子供たち。
その様子を見て、恐怖よりも先に感じたのは使命感だった。
「…あれは…。」
「あの子供たちかい？彼らはね、実験体だよ。」
「…何の？」
＿＿＿＿＿終わりのセラフ
「…っ！？う、はぁ、すごい。」
「リーグ様！」
終わりのセラフという単語を聞いた瞬間、リーグは後方10mまで吹き飛んだ。
Aが彼に対して拳をあげたからだ。
あまりにも速く、強い力だ。
咄嗟に両腕で庇うも、その重み耐えきれなかった。
とても12歳の少女がしたことだとは思えない。
バステアはその様子を見て剣を抜く。
「なるほどなるほど。禁忌に触れたら、見たら目覚める仕組みか。生まれる毎に記憶が薄れているようだけど、それは彼の影響かな。」
「リーグ・スタフォード。あなたを断罪する。」
凛とした佇まいであった。
あれが自分の両親に怯え、泣いていた少女だったのかと疑うほど。
「えー。でも、所詮は人間の器。それに今度のAは神を信じていない。おっと、これは僕らにも勝機があるのでは？」
「あなたの戯言など、聞くに値しない。」
「いやいや、だってそうでしょ？Aが、A自身の使命と信仰心を取り戻さないと力は振るえない。僕は父さんにそう聞いたけど？」
「…堕天した者のことを口にするな。」
「ははっ。Aの中にも堕天した者が潜んでるけどね。まぁ、とりあえず……拘束しようか。」
リーグは不敵に笑い、その身から鎖を引き出した。
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ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
