第15話 〜記憶〜 ページ17
入ってきたのはどっちだろう。
下を向いているからわからない。
コツコツとその足音がこちらに近づく度、恐怖で涙が溢れた。
「…ご、めんなさい…っ。ごめんなさい…。殴らないで…、お願い。」
その言葉には何も答えず、私の目の前でしゃがんだのが分かった。
そして、肩にポンッと手を置かれる。
「いや…！」
反射的に両腕で自分の顔を庇った。
でも、顔に拳が飛んでくることはない。
不思議に思い、腕を下ろすと見たこともない男の人が微笑んでいた。
真っ暗な髪に真っ黒な瞳。
おまけにスーツまで黒ときた。
「…誰…？」
「さて、誰でしょう。」
ふざけたような言動に困惑する。
「君を見つけるのにまただいぶ時間がかかってしまった。いやぁ、しかし…今度のはひどいな。」
「な、に…？」
彼は私を見て、哀れみの目を向けた。
そして微笑む。
「可愛くて可哀想なA、もう泣かなくていいんだよ。よく1人で頑張ったね。」
その言葉に胸の中が熱くなった。
ブワッと涙がこみ上げる。
「おいで、僕が助けてあげよう。日本へ連れて行ってあげる。」
そう言い、彼は私の手をそっと取った。
初めてこんなにも優しく触れられた。
それが嬉しくて、私も立ち上がって彼について行く。
＿＿＿＿駄目だ、行ってはいけない
「え？」
「どうかした？」
「声が…。」
「…。」
またあの声が聞こえた気がした。
私を呼び止める。
何故か不思議と心地良いと思う声。
「…なるほど、まだ一緒にいたのか。でも僕を止められるほどの力はない、そんなところかな。」
「…？」
「せいぜいAの父親と母親からこの子の命を守ることくらいしか出来ない。てゆうか、わざわざ助けなくても早く死ねばまた生まれてくるのに。」
馬鹿にしたように、彼は鼻で笑っていた。
「でも見殺しには出来ない。だから弱いんだお前は。だから…僕の父さんに負ける。」
「…誰と話してるの？」
私の質問に彼はニコッと笑った。
「気にしないで。君の中にいる悪魔だよ。」
意味不明の発言に首を傾げた。
そして、名前も知らない彼は私の手を引いた。
外へ出ると、一台の車が停めてあった。
少し躊躇しながらも促されたのでその車に乗り込む。
彼は私の横で笑っていた。
「やっと見つけた。何百年と探し続けたんだよ。」
「…私を？」
「そう。神の愛し子、神の使い。悪魔が取り憑いてるのはちょっと邪魔くさいけど、まぁいい。」
彼が言った、“ 神 ”という言葉に反応してしまった。
そんなものいないのに。
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ユーリ(プロフ) - 斑鳩@見る専さん» ステキなコメントありがとうございますー！！とっても嬉しいです！！バタついてて全く更新できていませんが落ち着いたらまた更新するのでぜひ読んであげてください！！ (2020年11月29日 7時) (
レス) id: b0d63da9ea (このIDを非表示/違反報告)
斑鳩@見る専(プロフ) - ほうほう ただの子供が吸血鬼に愛される話かと思って見てみれば、途中から あれこの子結構重要ポジではと思われる描写が少しずつ出てきて あ やっぱり重要な方なんですなってなって 凄く引き込まれました！ いつも更新ありがとうございます！ (2020年11月29日 1時) (レス) id: d0afc845e0 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - あすきさん» ありがとうございます！病院で働いてるもので仕事が忙しいですが頑張っていこうと思います！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: 5fad441ba2 (このIDを非表示/違反報告)
あすき(プロフ) - これからの展開が楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月17日 11時) (レス) id: a838b5fe09 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - Rさん» ほんっとうにお待たせして申し訳ありません！！まだ楽しんで頂けてるなんて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2020年7月19日 21時) (レス) id: f5d30a9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2020年3月9日 10時
