フォトフレームに愛をこめて (ページ16)

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014：所有欲 - keigo ページ16

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先程より後ろから伸びてきた手に耳たぶを
ふにふにされている。どういった状況か掴みきれない
わたしに頭上から声が降る。

「A、ピアス空いてるんだね」
『…悪いですか？』
「単純に気になっただけ。してる所見た事ないけど」
『若気の至りで開けたので、ずっとしてないですよ』
「ひとつしか歳変わらんでしょ」

声が近くて絶妙に擽ったい。
景瑚くんだけは歳下ながらも唯一呼び捨てきてきたり
このように距離感がおかしい。
耳の縁を指でなぞられて、可愛げのない声が出た
わたしを笑うんだ。遊ばれてるな、と思い
反抗しようと思い顔を見ると、
視界を長い指で奪われて、数秒。

目を開けると、自分の掌には琥珀色の小ぶりな石の
ピアスが。じっと見つめていると、もう背後に
彼はいなくて。

「あげる。塞がる前にしなよ」
『、え、いいんですか？』
「次会う時にしてなくちゃ怒るから」

ひらひらと手を振りながら部屋へ戻っていった。
吸い込まれそうになるくらい綺麗なそれは、
どうみてもわたしには勿体ないくらいの輝きを放つ。
きっと耳朶で光るそれを見て、鏡を見る度に
彼のことを考えてしまうのだろう。

頭をいっぱいにするのが上手い、やはり策士だ。
引かない熱は、君のせい。

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