013：探しています - shoya ページ15
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Shoya side
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「 これ、誰のだろう… 」
今自分の手には、黒縁の眼鏡が握られている。
共有スペースの机に無造作に置かれていたそれは、
かけてみるとくらくらするくらいの度が入っていて、
危うく転びそうになる。
これほどの近眼の持ち主なら、間違いなく
困っているはずだ。
親切人木全、聞き込みに行こうと思います！
case:001 豆ちゃん
〈違います〜やっぱ翔也くん眼鏡似合いますね！〉
case:002 祥生
〈こんな目悪い人おった？〉
case:003 蓮くん
〈ん〜わかんない〜。ナオトさんとかに聞いてみれば？〉
…手がかりがない。
仕方ない、元の場所に戻しておこう。
そう思って共有スペースに戻ると、そこには
Aさん。キョロキョロしていて、もしかしたら…
と思って声をかける。
「Aさん、もしかしてこれ…？」
『眼鏡、探してるんだけど…ん？』
目を細めて顔を寄せてくる。
まだ誰だか分かっていないのか、あと数センチで
キス、できるくらいまで近くて、生唾を飲む。
『わあ翔也くん？！！？ごめんね見えてなくて…！』
「いえいえ…！、そう言えば眼鏡かけてないとこ初めて見ました」
聞くところによると、普段はコンタクトの上から
別の形の伊達眼鏡をかけているから、
眼鏡姿は見慣れているけど、このタイプのやつは
初めて見せるらしい。
千葉Aだってバレちゃうのは避けたいんだって。
「Aさん、眼鏡かけてなくてもかわいいですね」
ふわりと甘い匂いがして、お風呂入ったばっかり
なんかなあと紅潮した顔を見て思った。
秘密のAさんを知ったような気持ちで、
ちょっと嬉しい。
たまには僕のことも見ててよ、なんてね？
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作者名：悠 | 作成日時：2020年9月16日 10時
