第八場 ページ9
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TN side
YT「知ってた？楼主様、ソンチャンの水揚げやったらしいで」
DY「え？」
ある日の出勤前、支度時間
古くから気心知れた仲間たちと化粧をしながら
不意にユウタヒョンがそんなことを言った。
ボクは
DY「珍しい… 楼主様自らやられるなんて」
YT「な！俺もびっくりしたわ」
JH「ソンチャニがお気に入りなのかな？」
その瞬間、ガタッと大きな物音がして
鏡の向こうに、白粉の箱を落としている
テヨンイヒョンの姿が見えた。
…その表情は、固まっていて
なんだかこっちまでつられちゃって
一瞬部屋の空気が止まったみたいだ。
畳にこぼれて広がってしまった白粉を、呆然と ただ見つめているだけのテヨンイヒョンに
…ボクは笑ってしまいそうな気持ちになった。
YT「ああもう、何やってん！」
TY「…ああ、ごめん…」
DY「着物に付いてない？大丈夫？」
なおも茫然自失としたテヨンイヒョン。
バカにしてるわけではないけど、
それでも …なんて言うかな
なんて単純で、素直で 分かりやすい人なんだ。
そんな純真さを未だに持っているから
ボクはヒョンのことが大好きなんだけどね
一瞬だけ、鏡越しに ヒョンと目が合う。
ボクがすかさずウィンクを飛ばせば、
呆れた顔して そっぽを向いてしまった。
ソンチャンとAちゃんがなんだか近しい仲になっていること、
ボクも噂程度には聞いていたけれど
まさか水揚げまでしちゃうとはね。
…確かに、ソンチャンは優しくて 朗らかで
Aちゃんがいかにも好きそうな 純朴な子だと思うし
それに、
遠目では見間違えるほど、テヨンイヒョンに似ている。
ボクはまた、新しいお気に入りが見つかったんだな、くらいにしか思っていないよ。
それこそテヨンイヒョンみたいに、
狂っちゃうほどの嫉妬なんか ボクはAちゃんにしたことない。
ボクは花魁だもん
普通の恋が出来るとは思っていない
この汚れたカラダで生きていく覚悟は
とっくに出来てるよ
だから何も望まない
綺麗なものや 真っ白なもの
うつくしいもの
あたたかいもの
ただ欲しいのは
どんなに歪んでいても 綻びていても
それでもいいから
Aちゃんの愛情だ
…それだけはテヨンイヒョンに譲りたくないね
ボク 変でしょ？
でも恋した男なんて、みんなそうだ。
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rurueru - このお話は本当に書籍化して欲しいぐらいお気に入りです。これからも長く続いてほしいですがこの願いははたまた、、、 (2021年2月24日 22時) (
レス) id: cf29b96430 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - もう5年くらいいろんな方の作品を読んでいますがTOP3に入るくらい好きな作品です。終わりが近づいていてとても惜しいです、、 (2021年2月20日 23時) (レス) id: dce001e485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2021年2月19日 22時
