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束の間に見ていた 白昼夢が
残酷にも 醒めていく。
私がまた瞼を開けたときには
そこに居るのは 清廉潔白なソンチャンなんかじゃない
大金と引き換えに、その美貌と一晩だけの癒しを提供する
高級娼夫の卵、そんなソンチャンだ
そして あたしは
…“楼主”なんだ
こんな運命からは逃れられない
朗らかな幸せには 到底辿り着けない
歩むのは地獄への道
その道中に立ち寄る 一瞬の快楽
皆を地獄に突き落とすくらいなら
私が地獄に堕ちよう
そう誓った
お父様が亡くなった あの日
そして、そんな私の隣には
テヨンがいた
…テヨンだけが、ずっと
私の隣に居てくれた。
地獄まで道連れにしてやろう
テヨンだけは
あたしが死ぬまで
ううん 死んでからも
ずっと、ずっと
あたしの隣に置いて
あたしはそんなテヨンを
テヨンだけを 愛していよう
…そう思っていた。
ほんの少し、前までは。
だけど
自分の人生と、幸せを
こんなに
そんなジェミンの瞳が
なんと生き生きしていたことか
凛々しかったことか
人間としての尊厳を取り戻したジェミンは
私の心の中に
嗅いだことのない匂いがする
新たな世界から吹いてきたような
そんな突風を巻き起こして、
一度も振り向くことなく 去っていった。
その時 確かに感じた
強く感じた
私がもし ほんとうに
テヨンを
愛して、いるなら
あたしはテヨンをいい加減 自由にさせて
地獄から 出来る限り遠ざけなければ
…あたしと一緒に来ないで、と
そう 面と向かって告げなければ
いけないんだ
そうしなきゃ
それが せめてもの償い
あんたなんか、要らない
そう
この胸の中では
狂おしいほどにテヨンを求めていながら
私はきっと そう告げるのだろう
…誰一人として
傷付けはしない
天罰を受けるのはこの私だけで十分だ
だから、こそ
…純粋に誰かを愛してみたい、なんて
私だって、幸せになりたい だなんて
その笑顔を、優しく 愛でていたい なんて
そんな
私はソンチャンの背中に 腕を回して
その綺麗な身体に
快楽を求める。
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rurueru - このお話は本当に書籍化して欲しいぐらいお気に入りです。これからも長く続いてほしいですがこの願いははたまた、、、 (2021年2月24日 22時) (
レス) id: cf29b96430 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - もう5年くらいいろんな方の作品を読んでいますがTOP3に入るくらい好きな作品です。終わりが近づいていてとても惜しいです、、 (2021年2月20日 23時) (レス) id: dce001e485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2021年2月19日 22時
