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「ヌナならどう考える？」
「…それを、今の私に聞く？」
「ふふ、今のヌナだから聞いてるんだよ」
対するジェヒョンは余裕綽々だ。
さっきは自分のことを未熟だと言っていた彼だけど、きっとその心は 私よりもとっくに大人なんだろう。
「…私、なら？」
「うん」
「…嫌なことから目を背ければ、その瞬間は楽になって生きていけるけれど」
「…」
「ひとときのぬか喜びは、自分の弱さに繋がる。傷付かなければ、そこから立ち直る方法も、強く進んでいく方法も、分からないままになってしまう」
…そうよ、その通り。
ジェヒョンに言い聞かせるのが恥ずかしくなるくらい、自分の口から出た言葉が自分自身に刺さるようだった。
「…そう、なのかな。やっぱり」
「その結果の、今の私よ。見れば分かるでしょう」
「ははっ… 自嘲なんてしないで。……ああ、でもこういう… 俺の中途半端さが、ミヒを悩ませてるのかな…」
…成る程、ミヒさんの話をしていたのか。
ミヒさんに対してジェヒョンは、
私が与えた役目を全うするどころか、自らの意志で彼女のためを思い 行動している。
ミヒさんのことを語るジェヒョンは、
随分と大人びて見えるものだ。
「…俺、ジェノのミヒに対するうやむやな態度がずっと気になっててさ。ミヒもミヒで、ジェノのこと必死になって振り切ろうとして、もがいてる姿がどうも可哀想で」
「…」
「極力ミヒを傷付けるようなものを遠ざけて、守ってきたつもりだったけど…」
「…ミヒ様のこと、好きなの？」
「さあ。…ただ、あの子の笑顔が見れたらなんだか幸せだから、ずっと笑って、楽しいことだけ感じていてほしいんだよ。こんな俺でも守れるものがあるかもしれないって、生まれて初めて感じさせてくれたのがミヒだから」
…さあ、なんて つまらない言葉ではぐらかしてんじゃないわよ。
頬を砕けさせるジェヒョンの姿。
完全無欠の色男が、この瞬間だけは 初恋に胸を踊らせる少年のような顔をしている。
長い時間をかけて、彼なりに彼女と築いてきた絆のようなものが有るのだろう。
彼と彼女にしか分からない何かも、有るのだろう。
それを誇るように、ジェヒョンは微笑んでいる。
…やな顔だ。
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rurueru - このお話は本当に書籍化して欲しいぐらいお気に入りです。これからも長く続いてほしいですがこの願いははたまた、、、 (2021年2月24日 22時) (
レス) id: cf29b96430 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - もう5年くらいいろんな方の作品を読んでいますがTOP3に入るくらい好きな作品です。終わりが近づいていてとても惜しいです、、 (2021年2月20日 23時) (レス) id: dce001e485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2021年2月19日 22時
