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TY side
うららかな桜色の陽射しの下で
普段の凛とした姿は 何処へ
まるで春の女神のように
暖かな笑みを
…ソンチャンへと投げかけている、
Aさんの姿。
心臓がまた一つ、どくんと 脈打って
鋭利な、光を失った何かが
深く、突き刺さるような感覚。
一瞬だけ、息が出来なかった。
SC「そんな… 僕は、本当に今のままで、」
「あら、飾り立てるのは男娼の責務ですわよ？それに貴方はもっと美しくなれます。…わたくしが美しくさせてあげられますわ」
SC「…よいのですか？」
「ええ。貴方によく似合う着物を仕立てましょう、新たに」
SC「…！すごい、そんな… あっ、ありがとうございます！こんな経験初めてで… すごいなぁ、(笑)」
「…ふふっ、貴方のように すれてない人は、久々に見ましたわ(笑)」
SC「すれてない…？ぼ、僕、そうですか？」
「…ええ。貴方はそのままでいらしてね。そのままが一番素敵よ、自信を持ちなさい」
SC「…楼主様、」
「その笑顔も、…素敵ですわ」
SC「…ありがとうございます！」
和やかに、楽しそうに
優しい笑みを 浮かべ合って
柔らかい口調で ソンチャンのことを褒める
…心の底から嬉しそうな
貴女の、笑顔。
「っ…、」
胸が苦しくて、思わず着物の襟を握りしめる。
目先の光景、
見目麗しい男女が微笑み合う、そんな
春にぴったりの 心地よい光景が
俺にとっては毒のようだ。
俺よりずっと背の高いソンチャンを見上げるAさんの瞳は
何かから解放されたように 潤んだ光を浮かべて
ソンチャンが、Aさんの髪に触れた。
不意の仕草に驚く彼女の顔は
…初恋を知った少女のように見えて
Aさんの髪から桜の花弁を取ったソンチャンの
ほんのりと色づいた頬と
Aさんを包み込むような笑顔を 目にしたとき
俺は頭から血の気が引いていくようで
「…テヨンさん！？」
「…はぁ、っ……」
「顔色が… 大丈夫ですか！？」
気付けば、下女が俺の体を支えていた。
俺は視界の焦点が合わず、
動悸もどんどん激しくなっていって
目の前の世界が 色褪せて
古びて、
ぼけて
消えていく。
…嗚呼
夢の中だけでもいい
貴女をもう一度だけ、抱きしめて
この腕で、抱きしめて
眠りたい
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rurueru - このお話は本当に書籍化して欲しいぐらいお気に入りです。これからも長く続いてほしいですがこの願いははたまた、、、 (2021年2月24日 22時) (
レス) id: cf29b96430 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - もう5年くらいいろんな方の作品を読んでいますがTOP3に入るくらい好きな作品です。終わりが近づいていてとても惜しいです、、 (2021年2月20日 23時) (レス) id: dce001e485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2021年2月19日 22時
