＿ ページ45
.
「…ふふっ、英国紳士の真似事？」
「そう。最近会ったんだよ、英吉利の人に…お客様に連れられた先でさ。そこで社交会があって、ほら 西洋建築の建物が新しく建てられたでしょ」
「ああ、そうだったわね」
「外国の貴族とか沢山来てた。噂に聞く通りの丁寧な振る舞いだったな。あれが“ジェントルマン”ってやつか」
「…」
「…この世界には俺が知らないことがまだまだ沢山あるんだね」
そう
悲しくなるんだ
彼らの成長を感じるたびに
ジェヒョンの横顔は、私の記憶の中に居る彼から 日に日にかけ離れていく。
その“当たり前”に、どうも戸惑ってしまう。
彼が何か、彼自身の言葉で 話すたび
私の知らないことを のうのうと話すたび
自分の興味、関心事を 嬉しそうに話すたび
誰かを思い 焦がれるような瞳をするたび、
ジェヒョンの成長を感じる。
彼は彼の人生を生きているのだと、
生きたい のだと
こんな狭いとこに閉じ込めたら
出来ることも出来なくなるだろうに。
彼のあらゆる可能性を潰しているようで
罪悪感で胸が張り裂けそうになる。
いい加減 放ってあげなければ
彼の幸多き人生のために、…なんて
「…A、ヌナ」
「っ… ……」
「どうしたの」
「……」
「やっぱり疲れてるんだね。…この俺を前にして他のことを考えるなんて、許さないよ(笑)」
「…ジェヒョン」
「ははっ、冗談だってば」
押し黙った私を見て、ジェヒョンはわざと私を
差し伸べていた手を下ろし、腰に手を当てれば、
私の顔を覗き込んできたりなんかするから
ふい、と 顔を横に向ければ
また子供のような笑みをこぼした。
時に美酒のような、毒のような色気を纏った笑顔で 女を悩殺するくせに
その精悍になった顔立ちが、真っ白な肌が、
桃色の頬が 不意に柔らかくなるのだから
ジェヒョンという男を 私は憎めない。
…憎んでなんかいない
誰も、憎んでない
それどころか、
……こんなにも ひとりひとりを想っている。
ジェヒョンはそんな私の本音が聴こえているのか、
はたまた 耳を傾けないふりをしているのか
私がさっきしていたように シャンデリアを見上げた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 936人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rurueru - このお話は本当に書籍化して欲しいぐらいお気に入りです。これからも長く続いてほしいですがこの願いははたまた、、、 (2021年2月24日 22時) (
レス) id: cf29b96430 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - もう5年くらいいろんな方の作品を読んでいますがTOP3に入るくらい好きな作品です。終わりが近づいていてとても惜しいです、、 (2021年2月20日 23時) (レス) id: dce001e485 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：如月
| 作成日時：2021年2月19日 22時
