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第十場 ページ5

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朝焼けと共にお客様を見送る。



これから片付けだ。
空が白み、人々が目覚める頃 彼らは眠りにつく。

従業員が大広間や廊下を掃除する間を縫い、
私は 中庭へと向かった。



紅葉は時に凍てつくような風に吹かれ、
冬の到来を早くも感じ始める季節となった。

私は空を見上げる。








「…あ、楼主様…」






その声に振り向く。


…マークが、(うやうや)しく 私に礼をした。


大きな瞳、まるで子供のような無邪気さを持つ瞳が 私に微笑みかけている。
いつまで経っても変わらない、可愛いらしい笑顔。


廊下を従業員たちが雑巾がけしている中、
庭の様子を眺めていた私に マークは肩を並べた。





「…あなた、そんなに背が高かったかしら」


「そうですか?」




はにかんで、笑う姿。
やっぱり可愛くてしょうがない。

それでも、こうして近くで見てみれば 多少男らしくなったかもしれない。

将来、うちの看板を背負うのは この子だろう。
なんとなく、初めて会った頃からそんな気はしていたけど 期待通りに見事な男娼へと昇華した。


そんな彼は、何か言いたげに身を屈めたかと思うと
声を潜めて、私に問い掛ける。






「…あの、最近ドンヒョガがおかしいこと言って回ってませんか?」


「ヘチャンが?…何故です?」


「あ、いや… 何も無いなら、それでよかったんです」


「…ふふっ、少し前にわたくしに尋ねてきましたよ。『何故、楼主様とテヨンイヒョンはあんなに親しそうなのですか』と」


「あいつ…!」




ヘチャンと特に親しいマークのことだ。彼の無礼と取れるような行動を、まるで自分の落ち度のように受け止めている。




「すみません、変なこと嗅ぎ回るのはやめろって言っていたんですけど…」


「よいのです。好きにさせておけば、そのうち飽きますわ」


「…」


「テヨンが何か隙を見せるとも思えませんし」





私とテヨンの関係を、知る人は
従業員の中には まず居ない。


まあ、私があれだけ彼を重用し
彼もまた各楼中を私に付いて離れない姿を見れば、
ヘチャンが浮かべた疑問のように 私とテヨンの関係を疑う人も居るだろう。




…此処には ほんの、一握り
私とテヨンの歪んだ事情を、知る者が居る。



私は 私自身の問題のくせに
どこか他人事のように構え、また空を見上げた。




…向き合いたくないの。


自分の中で、少しずつ変わっている

テヨンへの想いと、それから



…彼に確かに抱いてる、不安に。






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ray - 一昨日この作品を見つけ一気読みしました。主人公の揺れる思いに胸が苦しくなります、、。これから主人公とテヨン(テンも?)がどうなってしまうのか続きが気になります。大変だとは思いますが頑張ってください!更新首を長くして待っています^^ (1月15日 18時) (レス) id: 3feffcfcf6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:如月 | 作成日時:2021年1月14日 17時

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