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「何も貴方が案じることは御座いませんわ。さあ、出勤の準備に向かいますわよ」
そうこうしている間にも、どんどん陽は傾いてきている。
何か言いたげなテヨンの様子を無視して、
私は彼に背を向けた。
…そうだ
テヨンに真っ直ぐ接してあげて、って
テイルは言っていたっけ。
…ほんとは、私だって そうしたいけれど
もしもそうした時には、って 考えてしまうと
怖いのよ。
“そう”しないと
この関係は いつか終わってしまうと
分かっているのにも関わらず
その恐怖に打ち勝てない 弱虫な私だから
無謀な永遠だけを夢に描いて
麻薬のように飲み込んで 一時の安心を得て
それで無理に誤魔化している。
そんな調子だから
わたしにも
あの子にも
…禁断症状が訪れるのは、当たり前か。
ぐいっ、と
私の着物の裾が 強い力で引かれる。
体勢を崩せば、
彼の胸の中へと もたれかかるようにして
そんな彼は 私をそっと抱き締める。
…拗ねた、子供みたいな顔しながら。
「……おやめなさい」
「…」
「人目に付いたらどうするのです」
「…テイリヒョンじゃなくて、俺のこと、呼んでくれたって…よかったのに」
「テヨン」
「…」
「離しなさい」
そう、言ったのに
彼が私を抱き寄せる力が、もっと強くなる。
この感覚に見覚えがある。
“俺を失いたくないなら、今ここで俺に貴女を抱かせてください”
…あの時、無理矢理 私に迫った時の
私を脅迫するようなテヨンの瞳、言葉。
彼が剥き出しにしている本心、自我。
その片鱗を、私は今
彼の腕の中に感じている。
背筋がぞわりと粟立った。
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むうみん - これもしかして、、ジェミン編もテヨン編とと同じ時間軸、世界線に存在してますか？面白すぎる、、いろんな主人公の視点で見れますね。官能的だし、すきです。言葉も難しいの多くてすごい、、応援してます (2021年3月14日 17時) (
レス) id: ad7920768e (このIDを非表示/違反報告)
ray - 一昨日この作品を見つけ一気読みしました。主人公の揺れる思いに胸が苦しくなります、、。これから主人公とテヨン（テンも？）がどうなってしまうのか続きが気になります。大変だとは思いますが頑張ってください！更新首を長くして待っています^^ (2021年1月15日 18時) (レス) id: 3feffcfcf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2021年1月14日 17時
